第2話 入学式

 電車を乗り継いで改札を出るとすぐ高校が目に入った。日本高等学校は最寄り駅の目の前にある高校で利便性は抜群だ。

 というか最寄り駅自体日本高等学校駅というこの学校のために作られたものなので近いのも頷ける。

 周りを見ても比較的人も混んでいない。

 混んでいないというよりあまり電車を使って登校する人がいないのだろう。この学校には車などで送り向かいが出来るように別の入り口がある。大抵の日本高等学校の生徒はそちらを使用しているのだろう。

 学校の難易度を考えればそれも妥当だ。

 なんせ高校入試時点で大学レベルの知識を要求されるのだ。一般の高校生が入れる訳がない。それこそ昔からそれ専用に対策をしていなければならない。

 

 そんなことを考えながら歩いていると校門に着いた。

 入学式と書かれた看板の横で写真撮影を行っている親子をスルーしながら俺はその横を通り過ぎる。

 入学式会場はこちらの看板を持った職員だろうか?の横を通りながら入学式会場に向かう。

 どうやら入学式は体育館で行うようだ。

 中に入ると前半分が新入生、後ろ半分が保護者の普通の配置だった。

 恐らく担任であろう人がクラスを表すアルファベットを持ちながら立っている。新入生はA~Eまで分かれており自分のクラスのところへ座れということだろう。俺は合格通知に入っていたA組のところへと向かう。


 早めに出たつもりだったが結構な人数が既に揃っていた。

 

 流石に皆緊張しているのか誰も話そうとはせず体育館は静寂に包まれていた。緊張というよりも場の空気とでもいうのだろうか。

 俺は声を掛けるべきか迷ったが男子生徒の隣に腰掛ける。


 少し待っていると残りの生徒も集まり担任が数を数えて報告しに向かっていった。

 そのまま職員達が向かっていった。

 恐らく全員揃ったのだろう。



「これより入学式を始めます」

 透き通るような女性の声とともに入学式が開始された。

 

 ★☆


 帰り道、俺は少し拍子抜けしていた。

 入学式とはいっても特に何も目新しいことはなかったからだ。

 強いて言えばテレビのカメラが来ていたくらいだ。

 それ以外は普通の一般的なものと大差なかった。


 俺は少しがっかりしながら玄関の扉を開ける。


「ただいま~……って何してるの?」

 そして俺は今日一番の間抜け面をしているだろう。


 それは何故か。


 親父が玄関で土下座しているからだ。

 そして次に親父の言った一言に俺は驚愕せざるを得なかった。




「慧、すまん。会社倒産したわ」

 親父は少し顔をあげ片手をあげながらそう言った。




「……………冗談よしてよ」



 親父を見ても何も言わない。


 これは本当だと目が物語っている。


「……マジ?」

「マジ」


 驚きで続きが言えず俺はその場を動くことができなかった。


 







 

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