なぜか俺が美少女を恋に落とす恋愛ゲームをすることになりました

@uraomotekouin

第1話 渡会家

 日本高等学校。

 全国No1の知名度、そして難易度で知られる高校。卒業生には今現在活躍している政治家、起業家、研究者など多数の有名人を輩出している怪物高校である。


 そして俺こと渡会慧わたらいけいの入学する学校でもある。

 今日は4月7日、入学式当日。

 俺はテレビのニュースを眺めながら朝食を食べる。ニュースではテレビのリポーターが大々的に日本高等学校のことについて取り上げている。

 そんなニュース番組を見ていると自然と口角が上がってしまうのは仕方のないことだろう。


「………何ニヤニヤしてるの、キモイんだけど」

 そんな俺を見てゴミを見るような目つきを向けてくるのは妹の玲奈れいなだ。俺の二個下で今年で中学二年になる。

 前まではお兄ちゃんと慕ってくれたのが幻覚であったかのような態度だ。


「ふっ、勝ち組の仲間入りをした俺にそんな口の利き方をしていいのかな?」

 いつもならある程度のダメージを追っていたところだがあいにく今日の俺にはノーダメである。


「………」

 今度は先ほどの比ではないほどの軽蔑の目を向けられているが気にしない。

「ほら二人とも仲良く話してるのはいいけど早く朝ごはん食べちゃいなさいよ」

 台所にいた母親がいつの間にか朝ごはんを並べていた。

「別に仲良くないし」

「………」

 玲奈はややふてくされたように俺は何も言わず席に向かう。

 まぁいつもの光景である。


 そこにもう一人の人物が現れる。

「おはよう、今日入学式か」

 俺の制服を見てそう声をかけてくるのは俺の父親の渡会健司だ。ちなみに母親の名前は渡会綾子で二人とも美男美女の夫婦である。

 そのおかげか俺たちも自分から言うべきではないかもしれないが容姿には恵まれていると自負できる。

「そうだよ」

「俺の遺伝子を受け継いだ子が日本高等学校に行くのか……分からんもんだな。いやそれとも俺の子だからか?……まぁ適度に頑張れよ。俺の知り合いに卒業生の奴がいるが皆お前を褒めてたよ」

 相変わらずの適当ぶりだがこれが俺の親父だ。

 親父は自他共に認めるほど勉強が苦手だったらしい。何故そんな親父に日本高等学校を卒業した知り合いがいるのかというと親父が社長だからだ。だが社長だからというよりも親父だからといったほうがいいかもしれない。

 親父は謎の人脈を築いているらしく何でそんな知り合いがいるの!?と言いたくなることが何度もあった。


 ――そのうち日本高等学校の校長も知り合いとか言い出しそうだな


 そもそも社長になったのも勉強もそして努力も苦手な親父だが楽して金が欲しいと思いなんとなく会社を起業したかららしい。そしたら何とかやっていけるくらいまでには成長したそうだ。親父が適当なせいで何度もやばい時があったそうだが。

 だが親父はそれを楽しんでいる節がある。俺には理解できない考え方だ。

 俺はなるべくなら不安定よりも安定を取りたいと考えている。だから俺はそのためなら努力を惜しまないし自分で出来ることなら何でもする覚悟がある。この学校に入るのも政治家や官僚など安定した職に一番近づけるからに過ぎない。

 

「今度会ったらありがとうって伝えておいて」

「おう」

 

 そんな話をしているともうそろそろ行かなくてはならないことに気づいた俺は急いで朝ごはんを食べ身支度を済ませた。


「じゃあ、行ってきます!」


 意気揚々と俺は自宅から飛び出すように学校へと向かっていった。

 この時はあんなことになるなんて思ってもいなかった。

  


 


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