第14話 ママのお願い事。

 ママが、おしゃべり好きのジュディおばちゃんから解放されたのは、二時間後のことだった。

 日はとっぷりと暮れていた。

「で、どこまで話したかしら」

 ママは、かぼちゃパイを切り分けながら言った。夕飯になるはずだった七面鳥は丸こげになった。

「ママと十六夜おじさんが、いとこと勝負して、どうなったのか」

「ええ、そうだったわね」

 ママは、よく冷えたお茶もいれるとようやく席に着いた。

「勝負は……ママたちが負けちゃったのよ」

 ママは、罰が悪そうに言った。

「超能力鬼ごっこだったんだけど。ママ、運動音痴ですぐに捕まっちゃったのよね」

 ちなみに、十六夜伯父さんは『念写』の超能力の持ち主。鬼ごっこで活躍できる超能力とは言いがたい……。

「勝負した、いとこの超能力の中に『俊足』がいたの」

「そりゃ、ママたち負けるよね」

 あたしは、気の毒に思った。

「それで、沙夜にお願いがあるの」

 ママが、あたしの両手を握って言った。

「その時、ママたちが取られた大事なお宝を、取り返して欲しいのよ!」

「えっ……?」

 っていうか、あたしたちもう負けが決まってるんだけど……。

「ママが取られたお宝って?」

 気を取り直して聞いた。

「超能力者でも、あつかいが難しいと言われているお宝なんだけどね」

 そう前置きのあとで、ママが教えてくれた。

 聞いた直後、あたしは石化。力がぬけて、お皿の上にフォークを落とした。


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