第30話 謎の惑星②
パルタは大木の下に転がっている夥しい数のメデューサの死体を見ながら三人に聞いた。
「誰がやったの?」
「カレンがいきなり変身して……」
「変身?」
「いきなりカレンの髪が金色に光って生き物のように動いてメデューサを切り刻んだ」
グレンは自分の言っていることが信じられなかった。パルタはあっさりと自分の言うことを理解したようだった。
パルタはカレンを見た。カレンはまだ意識を失って眠っていた。
「やはりカレンの中の
パルタは俺にそう言うとカレンを介抱し始めた。
俺はカレン達と一緒にいた男に話しかけた。
「それよりもあんたはだれだ? 前に海賊船で会ったような気がするが?」
グレンは慌てた様子で自己紹介とこれまでの経緯を俺たちに説明した。それでも俺が疑っているとパルタが本当みたいね、と言ったので俺も信じることにした。
「お兄様ーーーーーー!!!」
俺は咄嗟にどこからともなく殺気を感じた。次の瞬間ドーーーーン!!、俺は誰かにタックルされて吹っ飛んだ。
ドカーン!! 何かに抱きつかれた俺は大木にぶつかった。大木の幹に体が少しめり込んだ。
「お兄様〜〜!! 寂しかったですぅ〜〜〜!!!」
タックル(抱きついて)してきた相手は妹のルーシーだった。
「おい! ルーシー! 俺じゃなきゃ死んでたぞ!!」
「ごめんなさい。お兄様〜! 久々に会えたので嬉しくなってしまいましたの〜♡!」
ルーシーは俺に言われて一瞬離れたが、でも大好きー♡!、と言って再び抱きついてきた。
「いつまで遊んでるんですか?」
俺たちは声のした方を見ると声の主はガスパールだった。ガスパールはルーシーを見てやれやれといった表情で俺たちに言った。
「この先にインバルト星の宇宙船の反応があるわ」
「え?……本当?、早く行きましょう!」
エレオノーラがガスパールに詰め寄った。
「ここから遠くないわ皆んなでいきましょう」
ガスパールにそう言われて俺たちは全員で宇宙船に向かった。
「あった!! あれよ!!」
エレオノーラは叫び声を上げると宇宙船に駆け出して行った。エレオノーラが宇宙船を確認すると間違いなくインバルト星の宇宙船だった。エレオノーラは興奮気味に話した。
「間違いなくソフィーが乗ってた宇宙船よ!!」
宇宙船の入り口を探してハッチのボタンを押すとゆっくりとハッチが開いた。まだ電力が残っているところをみると、最近この星に不時着した船の様だった。船体には致命的な損傷は確認できなかった。もしかすると中に乗ってたソフィーは無事ではないのか? 俺たちは淡い期待を胸にソフィーを探した。
俺たちは警戒しながら宇宙船の中に入って捜索を開始した。俺がコックピットの辺りを探しているとネックレスが落ちていた。エレオノーラに見せるとすぐに俺からネックレスをとってソフィーの物です、と言った。ソフィーが乗っていた船で間違いないだろう。
俺たちは宇宙船の中を隅々まで探したが、ソフィーの姿は確認できなかった。するとエレオノーラが突然何かを発見して走り出した。エレオノーラは床に落ちている何かを拾うと両手で大事に包んだ。俺はエレオノーラが拾った宝石のような物を見たが何かわからなかった。俺がパルタを見るとパルタがフューリアス宝石ね、と言った。俺はそれが何か分からずパルタに聞いた。
「フューリアス宝石?」
「忘れたの? ソフィーはその宝石を探すためにインバルト星を出て行ったのよ」
「ああそうか。人の手で温めると事前に入力した記憶が見れる宝石…だったかな?」
「そうよ。ほら何かホログラムが出てきたわよ」
パルタがそう言ったので、俺たちの視線はエレオノーラの持つフューリアス宝石に注がれた。ホログラムは人の形となりそれはソフィーだった。ソフィーは胸の前で両手を合わせて何かを話していた。俺たちは全員で耳を澄ましてソフィーの話を聞いた。
「ね……姉さん…お元気ですか?……ご……ごめんなさい。わ……私は……」
ソフィーがそこまで言うと無数のメデューサの触手が伸びてきてソフィーを捉えようとしていた。次の瞬間ソフィーの悲鳴が聞こえてホログラムは終了した。
ホログラムを見ていた全員がその後の結末を理解した。幼い少女があの状況で助かる可能性はゼロに近い。それはすでにソフィーがこの世にいないことを物語っていた。
「ジ……ジーク……ソ…ソフィーが……私の……妹が………う…うう…」
エレオノーラはそこまで言うとソフィーの形見のフューリアス宝石を抱きしめて泣き崩れた。
俺はエレオノーラの肩に手を置くとエレオノーラに謝った。
「エレオノーラすまない。ソフィーを助けてあげられなくて……、本当に……申し訳ない」
「ううん。ジークは悪くないわ。あなたは全力で探してくれたわ」
全員でソフィーの死を悔やんでいるとパルタが急に叫んだ。
「何かくる!!」
ガスパールも全員外に出ましょう、と言ったので、全員で宇宙船の外に出た。俺たちが宇宙船の外に出ると上空に無数の宇宙船が飛んでいた。飛んでいる宇宙船の側面にはウロボロス海賊団のマークがあった。
「幼い少女をこんな未開の地に追いやった奴らは全員許さない!!」
俺はエターナルエネルギーをためていつでも戦闘ができる体制になった。パルタは俺を見て待って、と言った。
「他勢に無勢よ数が多すぎるわ。今は大人しく相手の出方をみましょう」
「なんだと! ソフィーを殺した連中だぞ!! 絶対に許さない!!」
俺は俺一人でも戦ってやる、と言って意気込んだ。パルタは待って海賊から通信があるわ、と言って黙った。暫く沈黙が続いた後にパルタが私にいい考えがあるわ、と言って投降するように俺に求めてきた。俺がそれでも引き退らずにいるとパルタが訴えるように言ってきた。
「お願いジーク、私を信じて。私もソフィーの死は辛いわ、でもこれが最善の選択よ」
俺がパルタの訴える眼差しを見つめていると、私もパルタの言う通りにしたほうが良いと思うわ!、とカレンが起き上がりながら言った。
「あの数の船団を相手にするのは無謀だわ」
俺たちは渋々パルタの言うことに従い、仕方なくウロボロス海賊団に投降した。
ウロボロス海賊団の船団はジークたちを宇宙船に投獄したのち、グロリアの護送船を襲っていた。
グロリアの護送船を捕らえた海賊団は護送船に向かって通信を行なっていた。
「我々はウロボロス宇宙海賊だ! グロリアを引き渡して欲しい。要求に応えなかった場合、後悔することになるぞ!!」
「それはできない。この者は未開拓惑星を侵略した重要な証人だ、貴様らの要求に応じることはできない」
銀河パトロールの隊員は毅然とした態度で海賊の要求を拒否した。
海賊団は最後通告を告げると全船攻撃体制になった。その時海賊船団の中の一隻が何故か銀河パトロールの船に近付いて行ったと思った次の瞬間、その一隻が大爆発して小型のブラックホールが形成された。ジークたちを乗せたウロボロス海賊団の船団とグロリアを乗せた宇宙パトロールの船はそのブラックホールにあっという間に呑み込まれてしまった。
謎の宇宙船が一艘この光景を監視していた。謎の宇宙船はアル=シオンに報告した後すぐにその場を離れた。後には真っ黒な宇宙空間だけが残った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます