第二十八話 王手
「説明しろ、
掴みかからんばかりの勢いで
「国外に傭兵として出されているらしいという情報は掴んでいた。だが、これまでは確たる証拠がなかった。それが今手に入った。その事は後でだ。それじゃあ不満か?」
問い掛ける
「……取り乱して悪かった」
全てを理解した
「こちらから出せる情報はそれが全てです」
「十分すぎるくらいだ」
「事の仔細は全て任せます。結果さえ伴えば私は問題ないので」
あくまで無関係を装いたいということだろう。下手に関わられてこちらの手の内が明るみになるのは困る
「情報の精査は必要だとは思うが、おおよそこれで行けるだろう」
「これをたった一人の国会議員が?」
「末恐ろしいな」
「でもこれが本物なら、いよいよ王手だぜ!」
喜び勇む
それから二日後、
議場に乱入した際と同じ黒コートに身を包んだ四人が闇夜を駆ける。
辿り着いた建物の明かりは落とされ、人々の生活音が遠く聞こえてきているのみだ。事前に防犯装置は解除されているとはいえ、警戒を怠ることなく静かに建物の中へと侵入する。呼吸音すら響きそうな静寂の中、足音を殺して侵入した一階から最上階の三階まで人の気配を探して動く。
道中、見つけたパソコンの一つを起動して情報技術部から手渡されていたハッキング用のデバイスを取り付けた。
「なんか、妙じゃないか?」
最上階である三階への階段を上りきった所で
再び罠に掛けられたのか。
疑いながら最上階を物色したが、それは呆気ないほど何も起こらずに終了した。だからこそ余計に四人は警戒を露わにする。
「なんだか、嫌な感じがするわ」
不安を口にした
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