第二十五話 強襲
side
「時間だ!」
一人息せき切って建物に向かう
「独断専行は危険よ」
「でもあの子達が!」
「急げば助かるの?」
「予定通り地上階から」
配備されていた構成員達に
「ちっ、ここまで来たか」
状況を悟った研究員の一人が培養カプセルのボタンを操作した。
「動かないで!」
「何を?」
「お前らに渡すくらいなら全て壊す。凶暴化した失敗作でな!!」
研究員の叫びと同時にカプセルが内側から破壊される。
「ああああああああ!!」
雄叫びを上げながら
「待って!! 私達は敵じゃない!」
「無駄だ!! そいつに理性は残っていない!!」
「うああ、ああああああ!!」
屍と化した研究員を振り捨て、攻撃対象を
ギィイイン
幻物質の強化壁同士がぶつかる甲高い音が響く。
「力は大したことない。でも……」
(殺したくない。殺せない)
迷いで時間ばかりが過ぎ去り、力で劣る少女に傷となって現れ始めていた。両手で口を覆い、それを呆然と立ち尽くして見ていた
「こっちよ!」
突然響いた、支配力を持つ
「何を!?」
真っ直ぐに
「そんな!」
「大丈夫だよ」
口から血を吐きながら、
「lullaby for You〜♪」
全身全霊の力を込めた至近距離での子守唄。凶暴化していた少女も流石に抗えなかったのか、意識を手放す。それを見届けた
side
(妙だな)
建物付近にたどり着いた
「どうかしましたか?」
「いや、あまりにも人の気配がなくてな」
「……?」
不思議がる構成員達を引き連れて、建物へと侵入する。
「やはりか」
感じていた違和感。その正体をしっかりと両目で捉える。
「何も残っていません!」
そう、この建物はもぬけの殻だったのだ。
「情報が漏れたか、俺達を警戒してか……」
「拾える物だけ拾って撤収を」
ビーッビーッ
撤収の指示を出していた
『消火剤を散布します。屋外へ退避してください』
「な!?」
「総員速やかに窓から離脱! 死ぬぞ!!」
手当り次第に窓ガラスを割って屋外へ退避した直後、建物内一面が真っ白に染まるほどの消火剤が散布された。
「全員無事だな」
目視で人数を把握した
「急ぎ本部へ戻るぞ」
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