第二十話 会議
「俺はここの偉いやつに会わせてくれって言ってるだけだろ!!」
「おー、派手にやってるな」
ひときわ大きな声の聞こえたテントの向こうに
「ど、どうしてここへ!?」
敬礼こそしないが居住まいを正す武装兵。
「ちょっと野次馬に」
「すぐに追い返しますので!!」
「少し待ってくれ」
「やっぱりか。お前、名前は? ここまで一人で来たのか?」
「近寄るな! お前、レジスタンスじゃないだろ!!」
痩せこけた少年は、突然現れ会話に割り込んできた
「お、お前!! この方になんてことを!!」
「ぷっ、くっくっ。いや、いいよ。ちゃんと名乗らなかった俺も悪いんだ」
「ですが!」
言い募る武装兵を片手で制す。
「俺は
膝を折り、目線を合わせて名乗る
「……口ではなんとでもいえる」
「だな。悪いが医者を呼んでこいつの手当をしてくれ。そのあとはこいつの気が済むようにしてくれるか?」
「いいんですか?」
「俺の独断ってことにしてくれて構わない」
「わかりました!」
指示を受け、武装兵達が動き出す。それを確認した
「あいつ、一体……」
それを見ていた少年は呆然と呟くのだった。
少年と別れ、案内されたテントに入ると、すでに物々しい人数が集まっていた。
「悪い、遅れたか?」
「時間通りだと思うんだけど……」
「ふん。では今回の作戦を確認する」
「本作戦で我々は政府による救援物資横流しのルートを破壊し、外からの物流を手中に収める。切り込み隊長は本部から派遣されてきたそこの日本人共だ。好きなだけ部隊を連れて行け」
「本部から来た
「ふざけているのか!?」
「いったい何人の警備兵がいると思っている!!」
「こんなやつらに任せろと!?」
「本部は何を考えているんだ!!」
騒ぎ出す会議参加者に
「静まれ!! 先に説明したとおり、本部からの人員には好きにさせる。我々はそれが失敗した時に備えて準備すればいいだけだろう」
あっという間に騒ぎは隊長によって鎮められた。
「あとは部隊間の連携確認だ。本部からの客人は好きにしていろ」
隊長により半ば追い出されるように二人はテントを後にする。
「さすがに隊長は違うな」
「
「甘く言って足手まといになられても困るんでな。今回はお前がいれば十分だ」
「うー、責任重大だー」
思わぬプレッシャーに
そのまま適当に歩いていた二人は救護テントに辿り着いていた。
「さっきの少年はどうなった?」
先ほど少年の対処をしていた武装兵の姿に
「お疲れ様です! 現在この救護テントで処置の最中です!」
「そうか、ありがとう。……のぞいて行ってもいいか?」
「もちろんです!」
テント内部に顔を覗けると、ここまで連れてきてくれた案内人が駆け寄ってきた。
「会議は終わったのですか?」
「ああ。あの少年は?」
「こちらに」
連れられて入った処置室の横、簡易の病室に少年と横たわる少女がいた。
「あの子は?」
「先ほどの少年の妹だそうです。高熱で、あと少し処置が遅ければ手遅れだったと」
「無事でよかった」
ほっと胸をなでおろす
「あの、ありがとうございました。俺にできることがあれば何でも言ってください!! 俺、何でもします!! このお礼に、みなさんのお役に立ちたいんです!!」
「……ここがどういう所かわかって言ってるか? ここで役に立つってのは、駒になるってことだ」
現実を突き付けられ、少年が言葉に詰まる。
「妹の為に大人でも厳しい道を歩いてきたのはすごい。助けてもらったお礼をしたい気持ちもわかる。でもな、ここは大人の俺達の場所だ。すぐに出て行けとは言わない。だがお前は妹の側にいろ。それはお前の、お前だけがすることだ。いいな?」
「
「――大丈夫です。俺、あいつのそばにいます!」
妹の側に戻った少年を見届け、二人は病室を出て行った。
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