第十三話 別離
「ぐああああああああああああ!!」
悲鳴を上げ、顔中から血を吹き出し倒れる研究員達。
「ぐうううううううううううう」
血まみれで苦しむ
やがて五号につなげられていた生命維持装置が、五号の生体機能停止を告げた。
「……こんなこと、あっていいはずがない!!」
血まみれの息絶え絶えでありながら、生き延びていた
「そんな状態で生きているとはな。あんた、俺達以上の化け物か?」
「許さない、許さない、許さない!! せっかくの研究材料を!!」
五号の傍でこと切れている研究員を後目に、
「勘違いしているようだが、俺達も05もお前の為の研究材料なんかじゃない。一人の人間だ!!」
「黙れ!! 生き延びさせてやっていた俺に牙をむくなど、許されるはずがないんだ!!」
「……悔い改める気持ちすらないとはな」
「そこをどけ。せめてそいつだけでも捕まえる!!」
「この期に及んでまだそんなものを……」
「なんとでもいえ!」
「こうなってはなりふり構ってはいられないか」
「黙れ!!」
叫ぶ
(かかった! 五号の研究結果をふんだんに使った神経毒入りの特殊弾だ。幻物質で防いだだけで子供なら意識を失う。これなら!!)
勝ったつもりでいた
「な……っ」
まさか避けられると思っていなかった
「やはり特殊弾だったか。05には感謝してもしたりないな」
「何を言って……?」
「……さてな。知らないとは残念だったな」
何を言っているのか理解出来ないと言いたげな
「俺に訳知り顔でしゃべるな!!」
血まみれの額に青筋を浮かべた
「隠し玉はそれですべてのようだな」
「お前……一体何をした!!!」
「さてな。教えることなど何もない。あるとすれば……」
振り向いた
「さよならだけだ」
「あ、ああ……」
呻きながら己が手で額の出血に触れた
「大丈夫か?」
倒れたまま動かない
「終わった、のか……?」
かろうじて意識はあるが指一本動かすのすら辛そうな
「聞こえるな? 作戦終了。帰投する」
様子をうかがっていただろう
「うわ!?
「俺も結構なもんだと思うが、それ以上っぽいな」
「とりあえず休ませてダメそうなら本部まで連れて行くしかないわね」
「事の顛末は俺が連絡しておくから、
「まっかせて!」
動けない
屋上に辿り着いた
(05の記憶は俺が継承した。この記憶が確かなら、あの子達は別の研究者に引き継がれるだろう)
脳裏をよぎる相対した少年少女の姿。
「……
(この国が変わらない限り、悲劇は続く。悲劇を断ち切らなければあの子達は救えない)
「小難しいことを頭だけで考えても無駄か。俺はがむしゃらに生きる。お前の分も」
胸元を握りしめる。
(受け継いだ思いは無駄にしない。絶対に!)
決意を新たに胸に刻んでいると、外階段を上る微かな足音が聞こえてきた。
「
屋上に続く階段の途中から
「そういや、朝からろくに食べてなかったな。食材はあったと思うが……」
「でもその……」
「ああ、肝心のお母さんが負傷中か。困ったな」
「その呼び方、
聞きかじった知識で知る母親のような言動を取る事の多い
「聞かれてたらしかめ面ものだな。……金はあったよな。よし!
「いいの!?」
「ただし飯っぽいものな」
先程の騒動で一番面の割れてなさそうな
「お菓子も少しならいい?」
「おう」
「やった!!」
るんるんと嬉しそうに跳ねていく
しかしその笑顔は
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