第十一話 再会
「それが、あの05だってのか……?」
「おや、あなたがお知り合いでしたか。ということは……認識コード09ですね」
「そんな姿にされてまで、生かされてたのか……?」
思い起こされる少年の顔とは重ならない現在の五号の姿に、
「心外ですね。五号から全てを奪ったのはあなた方でしょう? 目も耳も鼻も口も体も、生きるということ以外全てを奪われ、それでも彼は文字通り這いずって生きてきた。あなた方に復讐することだけを夢見て」
「言いがかりを!!」
したり顔で解説する
「言いがかりですか? あなた方が爆発を起こし、逃げ出さなければ五号はこんな姿になることはなかったでしょう。それでも言いがかりだと?」
「俺があの時助けなかったから……」
「ああ。あなた、五号を見捨てたんですか」
「見捨てた? 俺が?」
「だってそうでしょう? 傷だらけでも息があった五号を捨て置いて他のお仲間と逃げた。これが見捨てたといわずなんというのです?」
質の悪い笑みを浮かべた
「聞くな、
「あ、あ、ああ、うああああああああ!!!」
気付いた
「このままじゃまずいな」
暴れる
(錯乱してるとはいえ、
無作為に暴れる隙だらけの
「かは……っ」
「悪いな、
倒れ込む
「逃がしませんよ」
「ぐあっ」
撤退の動きに気付いた
「――はぁ、はぁ、はぁ」
「まだ気絶させるには威力が弱いようですね。出力を上げましょうか。脳を潰さないように気を付けて」
五号の横、機器を操作する研究員に
「このままおとなしくやられる訳にはいかないんでな」
「やれ」
「ぐああああああ!!」
三度目の脳への直接攻撃により、幻物質による身体強化の維持すら出来なくなり
(なんだ……?)
他とは違い、意思を持つかのように存在を主張する一片に
『見つけた』
触れた瞬間流れ込んできた光の本流に思わず目を閉じた
恐る恐る目を開けると、目の前には忘れられるはずもない研究施設の部屋が広がっていた。部屋に設えられたベッドには一人の少年が腰掛けている。
「ここは僕の能力で作られた心象世界。何者も干渉することはできない二人だけの空間」
淡々とこの空間の説明をする少年に、
「05……なのか……?」
「僕を知っているの? ごめんよ、誰だかわからなくて……」
「認証コード09。俺もかつてそう呼ばれていた」
「9? 本当に、9? そっか、生きていたんだね」
思いもよらぬ再会に微笑む05に
「嬉しいな。もう二度とあの頃の誰にも会えないと思ってたから。そうだ! 一緒に遊ぼうよ! あの頃は遊びなんて何も知らなかったし、何もなかった。でもここなら何でもできる。何をしても許されるんだ」
無邪気に笑いかけてくる05を見つめ返すことが出来ず
「すまない」
「そうだよね。今あっちじゃ9と9の仲間はピンチなんだ。僕と遊んでなんていられないよね」
俯いた
「そうじゃない。そうじゃないんだ……」
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