第10話

 手足はまだ動くだろうか、そんな問は決して声になっていないのはさすがの俺でもわかっている。

 なんとか目が冷めた、目に見えるものはほぼすべてのモニターの電源が消えている以外はなんの変化がないコックピットだった。

「オファ、生きてるか」

「バッテリー90%ヲ維持シ続ケテイマス」

「俺は何時間意識がとんでいた」

「12時間」

「現状報告」

「鹵獲サレマシタ」

「詳しく説明してくれ」

「了解、現状我々ハ謎ノ組織二母艦ガ制圧サレテシマイ航行不能。

 本機モ直接接続デハッキングヲ受ケテオリマス、デスガソレニヨッテセキュリティノ突破ノ可能性ハ極メテヒクイト考エラレマス」

「胸部作業用カメラを起動メインモニターに出してくれ」

「了解」

 今まで通りコックピットが光りに包まれだした、機体は関節の節々をコの字ボルトのようなものによって壁に固定されてしまっている。

 その上から足場を組み立てられている、その中でも胸部のすぐそこの足場に何人かの人がいた。

 どうやらコイツラがさっきオファがいっていた直接接続をやろうしているようだ。

 横にいる奴らはライフルを装備しているところを見るに俺はいま出ていった瞬間に殺されるのではないだろうか。

「あれっ窮地だったりしちゃうのかないま」

「肯定シマス」

 いやそんなすんなり肯定されてもなあ。

「アクセスしてきてるやつをジャックできるか」

「可能デス」

「では今から言う文章を送ってくれ”我はあくまで個人である。貴君らが我が母艦を制圧をしていることは理解している。我が 部下たち安全の保証と我が身の捕虜以上の身の安全を保証していただきたい。そうすれば私はこれから降りることをお約束いたしましょう”」

「送信完了シマス、現状我々ハ敵ニ母艦ノ航行能力等ヲジャックサレテシマイドコニ向カッテイルノカ把握ガ不可能ニナッテイマスガ命令サエサレレバイツデモ押返セル準備ハデキテイマス」

「さてどんな反応してるかな」

 先程まで俺の機体をシステム的にこじ開けようとしていた野郎が急に青ざめだした。

 あまりにも青ざめるてしまっているせいか周りの武装したやつらは技術屋の野郎の方に手をやってなにか聞いている、その中でも一人が慌てて画角外に走っていってしまった。

 するとチャット画面がタブレットサイズに表示された。

 ”先に問いたい。そちらの総人数を述べていただきたい。”

 あちら側のチャットが帰ってきた。

「全く、情報交換とでも言いたいのですかねえ」

「コチラニ関シテハマダ答エナイ方ガ得策カト」

 ”申し訳ないが所属等はそちらが明確に私の身を保証してくれるまで言えません”

 誰がどう見ても交渉とは言えないチャット画面となってしまっている。

 てかひどすぎる、外部との会話の経験がないのがこんなときに辛くなるとは。

「にしてものどが渇いた」

「交渉ガ長引クノハ肉体ニ影響ガ出ル可能性ガ高イノデ危険ダト考エラレマス」

「やはりか、確かパイロットスーツには生命維持装置があったはずなのだが、そこから俺の健康状態調べられないか」

「了解、調査シマス…….エラー。

 申シ訳アリマセン、エラーガ発生シテシマイワカリマセン」


 一時間ほど立っただろうか、どこか偉そうな見た目をした長身の男が作業しておる野郎からマシンをぶんどってチャットをうちこんできた。

 ”私は本艦の船長である、貴君の提案を受け入れよう”

 そう言いながら目の前にいる全員が武器を据えて投げ捨てて両手を上に上げてきた。

「俺は降りるがお前はここで待機しといてくれ。

 事と場合によっては……まあ頼んだ」

「了解」

 俺はハッチから機体の外へと出た。


 半ば脅迫されて俺は船長を名乗る男に促されどこか聴取をしてきそうな部屋をしている。

「さて、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」

「ジュリガーです」

「今、君はジュリガーとゆうの」

 突然、扉が蹴り破られように開いてき、明らか学者面

 の男が出てきた、目は狂気と言うかどこか血眼になっていた。

「ジュリガーといえば、ガデス・ジュリガー。

 ff粒子の革新に努めた功労者が一番有名か。

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