第8話
「支払できた……これ生きてるのか」
俺は船の中にあったおそらくDrのものと思われるカードを手に疑問が一つ浮かんだ。
こいつのパスワードは支援AIに吐かせていたから知っていたが、こいつが凍結されてないとなるとあの人は今どう言った扱いなのか。
少なくとも連邦に差し押さえられたりはしてないようだが。
そうなるとやっぱりあいつらはなんだったんだ。
正規であれ特務であれ口座の差し押さえだとかそのくらいはできてもおかしくないと思うんだが。
「Dr.Φあの人って何もなんですか」
考えが問いかけるように口から溢れてしまった。
「正直言って知らない。
あの人は語らない。
仕事でどれだけつるんだって己の過去それだけは明確に語らなかった。
それこそそっちは何か知らないのか」
「研究室での爺ちゃんの同僚だったと自称はしてましたが」
「全く意味がわかんねえぜ」
会おう言いながらこの人はメガネタイプに端末を操作し出した。
街中を歩いてよくそんなことをしようと思うのか理解ができない。
すると突然表情が変わった。
「なんだこりゃ、意味がわからねえぞおい」
明らかに驚嘆した声だった。
それはもう背骨が曲がって前のめりな体型になってしまうほどは。
「あの人じゃないとこのルートをこんなに使えるはずがないんだが。
おい、急いで支援機たちの動作確認とゆうか業務報告させろ」
拳を握ってこちらに振りかざしかけたポーズでそう言ってきた。
慌てて手元の端末で確認したが船の調整と改造の続き以外何もしていなかった。
「何もやっていないが」
「最悪だ。
ふぁあ、まじでどこのどいつだこんなふざけたことしやがった野郎は」
めんどくささが七割ほどをしめていそうな声でそう言って、通りを駆けて行ってしまった。
「なんだか嵐にような人だった」
言葉にしない方が難しいほど直感でそう感じさせてくる人だった。
買い物は支援AIだけで十分こなせるだろうから、本当に俺はやることを失ってしまった。
現代人の闇を感じながら端末を手に取ると、一緒に紙切れが手に入った。
“坊ちゃん田舎育ちだろ。すりに対する体制がなさすぎるあの師█/\あの爺さんの金なんだからすられないでくれよ、それより本題だ俺らなんかにつけられてる絶対にまっすぐ船に帰るな“
どうやら師匠と書いたがかき消したらしい。
一番の問題はつけられている。
一体誰が、なんのために。
ここで俺を追っているやつを捕まえて数多ある可能性のどれが真実なのか導き出す、その資料だけでも手に入れにいってもいいのだがとても現実的ではない。
相手がもし軍部の特務部隊や精鋭部隊だったら物理的、物資的に勝ち目がない。
悪戯に喧嘩でもふっかけようものなら大義名分を持って市街地で蜂の巣にされる可能性もゼロではない。
となれば兎にも角にも逃げるしかない。
どれが追手でどれが無関係な人間か、まずそこを判断しに行かねばならない。
俺はノロノロと歩いていた表通りの家と家の隙間からな何食わぬ顔で裏通りへと入った。
少し進み角まで行くと一旦建物を背もたれにして立ち止まった。
「流石に裏口に入った瞬間掛け迫ってくるような奴らではないらしいな。
しっかし、もし追手が本当にいるのならそいつらの顔だけでも確認しておきたいんだが」
幸か不幸か2分ほど待っても詰め寄ってくる人影はひとつもない。
虚言野郎の嘘に騙されたとかゆうパターンが一番嫌なんだが。
呆れた声が溢れて止まらない中俺はそのまま裏通りを進んでいった。
裏通りを2メートルほど進んでも後ろに追手らしきものはいない、それどころか裏通りが終わりまた先ほど進んでいた通りの続きと思われる通りに繋がってしまった。
そこで買い出しで買ったものを輸送している支援AIの一機が目に入った。
あちらもこちらに気づいたのか振り向いてきた。
「必要物資ノ購入全テ終ワリマシタ」
「了解だ。
では予定通りに中断した作業を再開してくれ」
「了解」
正直この局面でこいつを見られたには厄介すぎる。
何を隠そうこいつは直行で船に帰る脳しか持ち合わせてないのだ。
とゆうか早く帰ってくれないとこのコロニーから逃げることもできない。
しかし今こいつを船に返してしまえばそれこそ船の停泊場所がバレてしまうのではないだろうか。
はっきり言って見えない敵と戦うとか無理すぎる。
とんだヘビーワークにも程がある。
突然手元の端末が震えた。
“ドウシマシタカ”
基本周りの人からは見えないチャットとゆう形で問いかけがなされた。
どうやらこいつらにも察するとゆう能力があるらしい。
てかこいつらに悟られるほど俺不自然だったのだろうか。
“何者かに尾行されているかもしれない”
俺は率直にその問いに答えた。
”デワ作戦ニ変更ヲ加エマスカ”
”加えなくてもいい、ただパターンSをいつでもできるように準備をしておいてくれ。
予定通りの作業が終了次第連絡をしてくれ”
”了解、オファニモ通達シテオキマス”
“頼んだ”
そんなチャットをしながら俺は船の反対側の方向に歩いていき、支援AIはまっすぐ船に物資を輸送をしていた。
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