第5話
「やっと完成した」
俺は支援AIしかいない家で叫んだ。
「開発にはなんだかんだ言って4日もかかってしまった。
まあその分俺好みのカスタマイズをいつでもできるなどやりたい放題のものに仕上がったから満足だが」
一週間しか猶予がなくその間に色々なことを済ませて独り立ち又はDrの手伝いの準備をしなければならない俺だったが、解析や研究の補助サポート役のAIを大量投入しているこの家に来てしまいあまりにも衝撃を受けて寝る間も惜しんで自分用の支援AI開発に身を投じた。
ありがたいことにここにはかつて使われていたものから現在軍部などでも使われている最新モデルまで幅広い支援AIのデータが集まっていた。
「ドウシマシタカ」
「なんでもない。
それより事例AからCはどうなった」
「予定通リ進行中デス」
ピピピ
目の前にあるパソコンからけたたましい音が発せられた。
「急に電話してすまん。
だがちょいちばかし面白い話を聞いてなあ。
今から送る資料に書いてあるから目通しておけよ。
後お前が昨日ほしいって言ってた物発注したから後一時間もしないうちに届くと思うぞ。
明日には帰るそれじゃ」
プツンという音と共に通話は切断された。
その音に紛れてデータファイルが送信されてた。
「自由すぎないか」
ああ流石に自由と言わざる終えない。
まあひもというかなんというかになっている俺が言えた話ではないだろうが。
にしてもだ4日前ここに来てすぐまた出かけて未だ帰らず、さっきの通話の言っている通りなら明日帰ってくるって。
確かに月は人類が生活している中で最も安全だと言われているがそれでもこれは倫理観とかそうゆうの的にまずいと言いたくてたまらない。
そんなことを気にしていても何にもならないので俺はDrから送られてきた書類軍に目を通した。
それは仕事関係の面倒くさいよくわからない物だった。
しかしそんな中ひとつだけ本当に意味のわからないデータファイルがあった。
これはデータ破損などではなく故意に暗号化されたものだということは直感で分かった。
記憶にある全ての暗号解読法を持ってしてもこの暗号の解読には至らないことは最初の一文を見ただけで理解することがでた。
「いったい何なんだこの暗号はここのローカルのデータバンクにある秘密部隊の専用暗号などにも当て嵌めたがまるで分かった物ではない。
一体どうなっているんだ」
こんな奮闘がかれこれ一時間も続いた頃
一機の輸送用車両が到着した。
「輸送完了」
「おつかれこれより積荷の確認に入る」
そう言って支援AI達と一旦手を休めて積荷の確認に専念することとなった。
「はー、にしてもどうしたものかこれだけの設備があるからとりあえず機体の保全や調査なんかもできるんだがいかんせんさっきのは暗号が頭を離れん。
俺の悪いところといえば悪いところだなあ」
「暗号解読用アルゴリズムファイルac−8〜ag−3ノゴ利用ヲ」
「全くお前らの会話アルゴリズム時たらどこか面倒なところがる.……待ってくれそのデータどこに保存されてる」
「ゴ主人様ノローカルファイルデス」
「先ほど共有データファイルに保存したものをそれを使って解析してくれ」
「了解」
それからほどのほどなく解析結果が出た。
それはあまりにも怪奇的で懐疑的で信じたくはない、否信じてはならない現実になるには少し早すぎる。
そんなことが刻まれていた。
人間の喜怒哀楽の内の怒りと哀しみだけが頭の中を渦巻いていると、ハッチに着艦した船があるとゆう通知が鳴り響き意識世界から追い出された。
「ただいま。
ちゃんと俺の大切な家兼研究所を管理してくれたよなあ」
そんな年甲斐もなくやかましい軽口が聞こえてきた。
俺は
「ただいまってってなんだ」
そのやかましい音を発する忌々しい喉を掻っ切る思いで握りしめた。
「あれは一体
あれは一体なんなんだよ........答えろ悪魔」
「やめろ、やめろ。
口調が口調でわからんかもしれんが年齢は老人と呼ばれる年齢なんだよこちとら。
それにあれは俺がリスクを負って手に入れた貴重な品だぜ」
己のあまりの華奢さのあまり老人一人やれそうにないことに落胆をした。
「そりゃあお前さんの立場じゃあんなもの見せられたら二つの意味で落胆するのは安易に想像できるが、その感情の先にある知能を使って見なきゃいけないものがあると思うんだが」
確かにその通りだ、少なくともこの忌々しい報告書が実験記録が融資の記録がこの爺さん主導ましてや一人でやっているとは到底考えられない。
なら今この人に憎悪や怒りをぶつけてもそれは筋違いでありとても理性的とはいえない。
そう昔からじいちゃんは言っていた理性的であれと、ならせいぜいそれくらいの遺言は守った方がいいだろう。
「取り乱した」
「流石にお前さん人間か、それも爺さん親父さんどちらにも似てな」
「とりあえず、あんたが送ってきた報告書これはマジなのか」
「ああ完全完璧本物だよ、それも横流しの品だから機密情報云々にもガッツリ引っかかってる違法な品だよ」
「新型モービル開発、設計、試作運用データこれの流出だけなら企業単体の問題だが」
「肝心なのは新型の話だろ。
まずスラスター出力が民間の認可機体の許容範囲をガッツリオーバーしてるのは見ての通りだが、お前さんが一番引っかかってるのはこの機体の完成予想図と実際に機体の正面写真だろ」
ああその通りだこの機体はどう見ても
「コロニーを落とし、お前さんと交戦したあの謎の性能をステルス機体。
お前さんのことだから戦闘データと照合も既にして確信してるんだろ」
「そうだよ、それが悪いかそれよりあんたはどこでこれを手に入れたんだ答えろ」
「落ち着けよ、全く若さってのは強さだなあ。
俺の本業は大声で叫べるようなものではないのはお察しの通り。
そんな本業の中に研究者、技術者のための仲介屋ってのがあってそこで運良く手に入れた。
ちなみにこれバレたら企業秘密漏洩云々でタダじゃすまないどころか品が品だけに多分暗殺される」
本当はこの人は俺にわざわざこんなものを見えまえるためにかなりのリスクを背負ってくれた。
それも、もしかしたら殺される良くても仕事ができなくなる可能性すらある。
それほどのリスクを背負ってまでして。
「それよりこんだけ時間あげたんだ少しは進展あっただろうな」
俺は少し怯えながらAIが持ってきたタブレットを見せつけた。
「これはなんやろか」
腑抜けたような声でそう問いかけてきた。「色々なコマンドやらなんやらをガサってたら出てきて、どうやらあの外装をシステム的にパージをするんだと思う。
明確な確証も実験もまだ行ってはいないけど」
「パージって一般的な機体は、パージはおろか素体と大半を同化するのが普通じゃないか」
「素体をほぼ同じにしてパーツや装備アタッチメント類を共有できるようにしてる機体は知ってるけど外装そのものを、それもフルは流石に聞いたことがない」
「あいつが作った未知のシステムか」
正直言って外部から透視しようとしても少ししかできないし、できたところもまるで意味がわからん原理不明のものが多すぎて大雑把な設計図ですら書き上げられないのが現状だったりする。
「とりあえずまだ開けそうなデータがあるからそこをいじってみてそれからパージしちゃいたいと思う」
「分かったじゃあパージするときは読んでくれて」
そう言って、俺に手を振りながら自室に歩いて行ってしまった。
実際問題としてどこからどこがどうパージするか一切わからないとなると正直安全面が確保できない。
もしコンデンサーなども一緒にパージされるとなると爆発の危険があるため重力内で行うのはリスクがすぎる。
だからと言ってもと言った形で未知だと対策のしようがない。
兎にも角にも設計図やそれに通ずるデータをサルベージしなくてわ。
眠い
眠すぎるなんだかんだ言ってここにいられるのも今日までそう考えると寝る間も惜しんでしまった。
しかしよく考えたらここ最近ロクな睡眠を取ってない。
正直言って体が辛い。
突然押されたるでもしたらそのまま眠ってしまいそうだ。(飛ばされかたによっては起きるか知らんが)
「さてタイムリミットだがどうだ残るか出るか腹は決まったか」
「とりあえずパージの実験をおきなってその結果によりますね。
パージのためのプログラムからどこにどう言ったコマンドを送るのか大体の予想あできたのである程度の安全は保証できそうです」
「じゃあやるか」
「正面ゲートヨリ来客デス」
めんどくさそうに正面ゲートのモニターを開いた。
「なんごとだ」
見た瞬間、怒りとめんどくささが混ざったような声でそう言った。
そこには正規軍に軍服を着た兵士が7人ほどやっていたのだ。
「どなたですか」
モニター越しに問いかけると
「こちら連邦警察付き支部のものです」
明らかにおかしい確かに連邦はこの世界を統括する組織ではある。
しかし軍服を着た警察などあり得ない。
しかしおじさんはなんの躊躇いもなく玄関に足を伸ばしていた。
「お前さんはここで待ってろ。
正面ゲートオープン、kz」
重々しいとはあまり思わない扉が開き正面玄関までの道筋が生まれた。
「警察の方が軍服を着てどのような御用件でしょうか」
玄関にあいつらが足を踏み入れた瞬間、そう問いかけた。
「先日、規定船による航海でデブリ隊の回収を行いましたよね」
「ああそれが仕事なんでな」
「その際人間または規定違反物品を回収してはいませんか」
「なっ」
俺の声は確実にあいつらには届かないそんな場所で俺は驚きを隠せず嗚咽を漏らしてしまった。
あいつらの目的はまさか俺はたまたじいちゃんのモービル。
いやどちらにしてもあいつらには知るよしがないはずそうなっているんだ。
「そう言ったのには見つけておりませんが」
「そうですか」
その瞬間おじさんの腹から何か赤い液体が流れ出した。
それは紛れになく鮮血だった。
警察を何るやつの手には拳銃がしっかりと握られていた。
「お前たち家宅捜索だ」
後ろにいた屈強な奴ららはその命令に従い何も言わずこちらに詰め寄ってくる。
よく見るとその手にはライフルらしきものが握られていた。
「kz」
おじさんが何かを呟いた。
その瞬間AIたちが先ほどとは打って変わった動きをし出した。
明らかに違う。
玄関からここにつながる道に分厚い壁が何重がそりたち。
ここを断絶させた。
AIたちはデータや荷物をあの船に輸送し始めた。
ついていけない。
そんな中命令を要求する子たちが何体も俺に擦り寄ってきた。
「お前たちは俺のモービルや研究データを輸送しろ。
それでも手が空いてるもには期待の緊急発進準備とハッチのコントロールを船に輸送しておけ。
全部終わったら船に乗り込め」
「了解」
俺も船に乗り込み手作業でできる限りのことをした。
ふとモニターに目をやるとおじさんに向かってあのリーダー格のやつが何かを聞いている。
その間も後ろにいた奴らはどうにかして壁を開けようと銃を乱射したりしている。
「あいつら一体なんなんだ」
その間にもテキパキとAIたちは作業をすすめている。
おじさんを救えるのか。
急な疑問が俺の脳を電流のようにかけていった。
まだ助かる可能性はあるのではないだろうか。
そに浅はかで安直な可能性にかけてみても良いような気がしてきた。
ドン最後の壁以外に全ての壁に大きな穴が開けられた音だった。
もう猶予がない。
ほぼその音がなったのと同タイミングで作業の全てが終わった。
「発射準備オールクリア。
コマンドkzニヨリコレヨリ緊急離脱並ビニ爆破ヲ行ウ」
信じがたい言葉が聞こえたのも束の間船は緊急発進を行い月を離れようとしていた。
ドカンという大きな音がした。
船を止めていた補給管などを全て外したにだろう。
スラスターが動き出し船が進み出したのはその刹那後だった。
ハッチギリギリしか開いていないなか船はそこを突き進み月のドームから出た。
月面ドーム人類の月での生活圏ふとそこに目をやると爆発している区画があった。
俺はそこに何がったのか直感でわかってしまった。
地図を確認するとその予測が間違っていないことが証明された。
おそらくおじさんは確実に助かってないだろう。
あんな大規模爆発近隣に人にまで迷惑をかけたには明白だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます