第140話 準備完了
あれから一ヶ月。
ついに目標であったレベル100に到達した。
後半の二週間はほぼ作業している感覚なくらい楽勝であったが、それが逆に苦行と感じて辛かった。
ついでに言うと、響子、鈴香、星香、瞳月、明日香の五人もレベル100となった。
そしてミィヤもレベル100となった。最強の嫁爆誕です。
『鑑定』の結果は以下の通り。
ミィヤ=ニザベル
20歳 女 精霊使い
レベル:100
HP7550/7550 MP8850/8850
力:3100
魔力:3600
体力:3100
知力:3100
敏捷:3200
技量:3300
運:5200
スキル:『精霊魔法』、『短剣マスタリ』、『攻撃魔法』、『回復魔法』
称号:『精霊の巫女』
ステータスも、全て3000越えしていて、人類の中ではかなり強者の部類に入る。HPとMPに至ってはかなり伸び率が良くて、俺を超えている。
それでも、強い魔族には歯が立たないだろう。マリウスとかね。
しかし、これで即死することは無くなったから無意味ではない。
というか、普通の魔物相手なら一人で勝てるようになっているし、勇者である生徒たち以外なら人類でミィヤに勝てるのはほんのひと握りになったわけだ。
ダンジョンでの特訓は凄いな、普通ならここまで強くならないだろう。
「ミィヤは、勇者以外ならもう人類最強じゃないか?」
「リューマは勇者じゃないから、人類最強はリューマだよ?」
そういや、俺勇者じゃなかった。それじゃ、オレが最強?! でも、HPとMP、更には幸運も負けているけどね!
というか、勇者じゃないのにミィヤのステータスは高過ぎじゃないか?!
鈴香は力と敏捷が高くて、星香は魔力と知力が高い。それ以外は2000~3000くらいのステータスだ。
なので、全員の平均値がミィヤくらいになりそうだ。
ちなみに、言うまでもなく俺のステータスはALL5000。HPとMPも5000だ。
少しは他のみんなのように、ステータスボーナスが増えるかと期待したんだ。しかし、最後の最後まで変わらずレベルがカンストしてしまった。
そう、人類のレベルは最高が100で終わり。これ以上は、強くなれない。人である限りはね。
俺は人を辞める気は無いからね?
マリウスみたいにはならないよ?
さて、誰に説明しているんだか分からないが、これ以上はダンジョンには用事は無い。
そろそろマリウスがここを放棄するだろう。その前にここから出ないとな。
「タニア。全員のカンストを確認出来たな?」
「はい、間違いなく全員のレベルが100になりました」
「よし、それじゃあ帰るか。『
「承知しました、マスター!」
ぴょこんと俺の腕の中から抜け出すと、地面にそっと触れて呟くと、虹色の門が出現した。
「おお、流石レベルが上がると早いな」
「はい、これもマスターのおかげです。
もっともっとお役に立てるように頑張りますね!」
氷の氷像のような顔なのに、笑顔と分かるくらい表情が豊かになったな。レベルが上がると、感情が豊かになるんだろうか?
そういや、マリウスと一緒にいるヴァネッサも鉱物系の魔族らしいし、一緒にいる時間が長くなると感情が豊かになるのもあるかもしれないな。
なんにせよ、心を許してくれる相手がいるというのは嬉しいものだ。
(ミィヤにだけ、マスターを独占はさせませんから)
うん、何か聞こえた気がしたが気のせいだろうか。
外に出て久々に浴びる本物の日光は気持ちいい。風も程よく吹いて、爽やかな気持ちになる。
やっぱり、暗いダンジョンの中よりは明るい外にいる方が精神的にも清々しい。
「村のみんなは、外に出たりしているのか?」
「牧畜や畑はダンジョン内よりも、外の方が育ちがいいため、大部分はダンジョンの外にあります。
交代で外に出ているため、籠りっきりではないですよ」
「そうか。いくら明るくしているとはいえ、ちゃんと日光に当たらないとだよな」
「そうね。村人の中にはあの光で十分だと言う人もいるけれど、お父様が外にも出るように促しているみたい。
外の警戒も兼ねているみたいだよ」
「なるほどな。確かに、タニアだけで全てを感知出来る訳じゃないからな」
「はい、私だけでは魔力を持つものしか感知出来ませんので、害獣や魔力を隠蔽した人や魔族などは見つけにくいですからね。
ただ、隠蔽出来るだけの人や魔族相手ですと村人に危険が及ぶので、常に緊急信号を発信出来る魔道具を持たせておりますよ、マスター」
「おお、そんな便利なものまであるのか。
流石用意がいいな」
「はい、ダンジョン内で複製していますので、見回りの分は用意出来ました」
「複製?! そんなことも出来るのか」
「はい、マスター。
最近レベルが著しく上昇したため『
これにより、アーテイファクト以外のアイテムなら複製可能です。材料は必要ですけどね」
なんというか、とことん優秀な仲間だな。材料も殆どがダンジョン内で手に入る。
なので、実質はいくらでも複製可能なのだ。
便利なものはワルダーユ王国以外に売って、お金稼ぎにも良さそうだな。
村に戻ると、子供たちが集まってきた。襲撃されて村が破壊された後は怖がって外に出てこなかったがもう安全だと知ってからは当番の大人と一緒に畑仕事を手伝ったり、遊んだりしているみたいだな。
元気になったみたいで良かったよ。
そんなことを考えながら、子供たちに笑顔を送る。
しかし──。
「リューマ、なんか臭い!」
「あはは! 服もすっごい汚れているし、ボロボロだー!」
と指をさされつつ、笑われてしまった。
当然、一緒に戻ってきたミィヤや響子たちの顔が青ざめてから、真っ赤になる。
「こーらーーーーっ!!」
自分も似たような状況なミィヤが、からかう子供たちを追いかける。
わ〜きゃー言って逃げる子供たちを見て、思わず笑いが込み上げてきた。
「はははっ! ほら、ちゃんと逃げないとミィヤに捕まるぞー」
「うひゃー」
「助けてー」
笑いながら逃げる子供たちを眺めながら、この長閑な時間が何時までも続けばいいのにと願うばかりであった。
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