第77話 決戦②

(マスターのスキルは、相手と自身のステータスを平均化するスキルがありますよね)


平均アベレージ』:指定した範囲の対象は、範囲内で平均の能力を獲得する。自己のみでは発動できない。


 今までは、ミィヤを育てる時くらいにしか使わなかったスキルだな。

 これまで自分よりも相手のステータスが低かったので使えなかった。

 仲間のステータスを上げるのには使えるが、範囲を広げると効果が薄くなるので使いどころが難しいのだ。

 俺はカザールとの戦いでレベルが上がっていたらしく、52に上がった。

 気を失っていたせいでレベルアップ表示がされなかったけどね。

 今のステータスはこんな感じ。

 やっぱり、ステータスアップボーナスが50に固定されているな。ちなみに今のステータスはこんな感じだ。


川西 龍真(かわにし りゅうま)

36歳 男 用務員、迷宮管理人

レベル:52

HP2600/2600 MP2600/2600

力:2600

魔力:2600

体力:2600

知力:2600

敏捷:2600

技量:2600

運:2600

スキル:『平均アベレージ』、『50フィフティ』、『解体術』、『熱耐性』、『魔法特殊耐性』、『精霊魔法』、『毒耐性』

称号:『ダンジョンマスター』、『デーモンキラー』、『アサシンキラー』


 何気に『毒耐性』が付いたようだ。たった一回食らっただけで習得するとか、かなりの猛毒だったんだな。

 命を救ってくれた明日香には感謝しかないよ。


(マスター、相手のステータスを、表示します)


「ああ、頼んだ」


 目の前に四体のドラゴンのステータスが表示された。自分よりも強いと分かっていたが、それでも実際に見ると絶望感に襲われた。


大地竜グランド

???歳 ? 大地を司る古き竜

レベル:120

HP12500/12500 MP7000/7000

力:4200

魔力:1200

体力:5400

知力:1200

敏捷:850

技量:2000

運:500

スキル:『大地の加護』


『大地の加護』:あらゆる地属性の魔法、スキルが使用可能になる。また、力、体力が大きく成長する。

『大地竜グランド』:土色をした大きな竜。岩のような硬い鱗に覆われており、物理ダメージに強い。また、とてつもない怪力で相手を叩きのめす。


火炎竜バーン

???歳 ? 火を司る赤き竜

レベル:120

HP10000/10000 MP9000/9000

力:4000

魔力:2000

体力:2000

知力:1800

敏捷:3000

技量:1900

運:500

スキル:『炎の加護』


『炎の加護』:あらゆる火属性の魔法、スキルが使用可能になる。また、力、敏捷が大きく成長する。

『火炎竜バーン』:深紅の鱗に覆い尽くされた赤竜。炎に完全耐性を持ち、あらゆるものを、焼き尽くす。力がだけではなく凄まじい速度で移動する。


氷結竜フロスト

???歳 ? 凍てつく氷の支配者

レベル:120

HP7800/7800 MP12500/12500

力:2100

魔力:7800

体力:1800

知力:5400

敏捷:2300

技量:2300

運:500

スキル:『氷結の加護』


『氷結の加護』:あらゆる氷属性の魔法、スキルが使用可能になる。また、魔力、知力が大きく成長する。

『氷結竜フロスト』:氷のように透き通った氷像のような竜。あらゆるものを凍りつかせ、身動きが取れなくさせる。また魔力が異常に高く、どの魔法も驚異となる威力をもつ。


暗黒竜シュバルツ

???歳 ? 闇に潜む邪悪の化身

レベル:120

HP16600/16600 MP16600/16600

力:6000

魔力:6000

体力:4000

知力:1400

敏捷:1400

技量:1400

運:500

スキル:『闇の加護』


『闇の加護』:あらゆる闇属性の魔法、スキルが使用可能になる。また、力、魔力、体力が大きく成長する。

『暗黒竜シュバルツ』:闇の化身の竜。あらゆるものを闇に取り込み、命を奪う。竜の中でも圧倒的な力を誇る。その瞳に見つめられた者は、必ず命を落とすといわれる不吉な竜。



 ……どいつも、こいつも化け物だ。

 こんなの、一体でも国を滅ぼせるんじゃないか?

 そんなのを四体も飼っているとか、マリウスはマジでやばい奴だったんだな。

 たけど、ここまでするってことはかなり本気で責めてきたってことか。


(まずは、暗黒竜シュバルツと『平均アベレージ』をお使いください)


「まずは攻撃力を上げるのか?」


(はい、マスター。この中でグランドの攻撃を耐えつつ、ダメージを与えるにはシュバルツが最適です)


「そうか、グランドも攻撃力高いんだったな。分かった、やってみよう『平均アベレージ』!!」


(精霊魔法『飛翔』を発動。更に、『水晶防壁クリスタルガード』発動!)


 俺とシュバルツの魔力が平均化されたことで、魔力が4300まで上がったおかげで、かなり強力な防壁を張れるようになった。

 『水晶防壁クリスタルガード』は、物理攻撃と、ブレス攻撃から身を守ってくれる。

 防御力も上がるので、グランドからの攻撃もなんとか耐えれる。


「魔法ダメージが50に軽減出来たのだから、物理ダメージも50に下げた方がいいんじゃないか?」


(それも可能ですが、防御スキル発動時にMPを消費してしまうので、今は推奨しません)


「あれって、MP消費するのか!

 くそー、なんでも無敵ってわけにはいかないか!」


 実際は最大50ダメージくらうので無敵な訳じゃないけど、ほとんどダメージ受けないなら同じ今だからね。


(マスター、グランドに気が付かれました。攻撃きます!)


 大地竜グランドが大口をあけると、そこからサッカーボールくらい大きな石が無数に発射された。

 たった数発が当たっただけで、『水晶防壁クリスタルガード』が打ち砕かれる。


(精霊魔法『水晶防壁クリスタルガード』発動!) 


 直ぐにタニアが防壁を張り直し、持ち堪える。


「くっそ、ただでさえ強いのに、連続攻撃とか卑怯だろっ!!」


 弾幕のように飛んでくる岩が邪魔でなかなか近ずけない。さらに他の三体の竜も、こちらに目掛けて魔法を放ってきた。

 辺りを包む業火が、巨大な氷柱が、ドロドロした毒の塊が俺を狙ってくる。


(来ます、マスター回避してください!)


「くっ!!」


 『飛翔』により進路を変えて、ギリギリ躱す。

 しかし、その度にMPが削られていくので逃げてばかりだとそのうち尽きて死ぬ。


「どおりゃああああっ!!」


 ミスリルの大槌を大きく振りかぶり、大地竜グランドの頭を目掛けて振り下ろした。


 ガギンッッ!!


「いっつーーっ、硬すぎだろ!!」


(マスター、物理攻撃ではほとんどダメージは入りません。属性付与魔法でサポートします!)


「そうだった! 頼むぞタニア!」


(精霊魔法『水属性付与アクアブランド』!)


「よし、今度こそ!!」


 グオオオオオオ!!

 大地竜グランドが、こちらの攻撃を阻止しようと魔法を展開する。

 地面に大きな魔法陣が三つ目出現した。


(マスター、攻撃魔法が来ます!)


 魔法陣から、巨大な石槍が出現し俺に目掛けて放たれた。


「魔法なら、このまま突っ切る!!」


 普通の人間なら即死どころか、跡形もなくすり潰されるだろう石槍の魔法に、俺は真っ向から立ち向かう。

 当然直撃し……なかった。

 それぞれ50ダメージだけくらい、そのまますり抜ける。


「これでっ! くたばれえええっ!!」


 水に包まれたミスリルの大槌を、今度こそ大地竜グランドの頭に打ち付ける。

 その瞬間、魔力が溢れてダメージを倍加していく!


「沈めぇぇえええっっ!!」


 メキメキと、嫌な音を立ててグランドの頭蓋を割ったのが分かった。

 よし!ダメージが通った!!

 だったら、もう一丁くらえっ!!


 さらに体を回転させて、今度は水平に打ち付けた。


 グオオオオオオンン?!!


 大きなダメージを受けて、大地竜グランドがその場に倒れた。しかし、まだ息の根は止めていない。

 そこに俺を狙った三体の竜の魔法が襲いかかってきた。


「グランドごと俺を葬るつもりなのかっ?!

 だけど、それは甘いぞ!」


 直撃を避けて、寸前のところで回避に成功する。すると、俺を狙った魔法が大地竜グランドに降り注いだ。


 グオオオオオオンンン…………。


 最後に一声鳴き、大地竜グランドは力尽きたのだった。


【──経験値が一定に達しました。レベルが54にアップしました。各ステータスにボーナスが発生します】


 そして、俺のレベルは一気に2つ上がるのだった。

 

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