第64話 本当の刺客
騎士達を全員倒したあと、タニアの精霊魔法で手足を水晶で固めて拘束した。
念の為に武器や鎧は全て取り上げたし、これでもう抵抗も出来ないだろう。
事情聴取するため、騎士団長と言われている男だけは話せるように口を塞がずにおいた。
「き、貴様。一体なんなのだ?!
何故、我らに盾突くのだ。分かっているのか我らは王宮の騎士団だぞ?!こんな事をしてただで済まされると思って……ぐぼおあっ?!!」
「侵略してきた癖に、うっさいよ」
なんか偉そうに言ってきたので、一発ぶっておいた。おー、さすがレベル高いだけあるな。顔は変形したけど耐えてる。
「今の立場を理解して欲しいな。それにお前たちが王宮の騎士だって知っているよ。
だからこそ、疑問なんだ。なんでこんな村を襲わないといけないんだ?」
「ふん、貴様のような下賎なものに教える筋合いはない! すぐに王宮から救援が来る。そうなれば貴様はタダでは済むまいよ。
さあ、今なら泣いて土下座して謝れば許してやる
すぐに我らを解放せよ!」
えー……。こいつの頭の中、大丈夫かな?
今、アナタ捕縛されているんだよ?それなのによく上から目線でものが言えるな。
「嫌だよ、なんで解放しないといけないんだよ。
どうせ解放したらまた襲ってくるだろ。
それに、お前には洗いざらい話してもらうまで解放する気はないぞ?」
とは言え、このまま素直に話してくれるとは思えない。さて、どうしたもんか。
「マスター、ご命令いただければこの者が口を割るまで拷問致しますが?」
「おいおい、怖いこと言うなぁ」
しかし、冷静に考えたら村を襲った奴らだ。しかも、前の襲撃にも関係している可能性が高い。魔物を操っていたのは気になるが、無関係ということはないだろう。
情けを掛けなくてもいいかもしれないな。
「でもそうだな。素直に教えてくれないなら仕方ない。タニアに任せようか」
「はい、承りましたマスター。
では早速その者をダンジョン内に監禁致します」
「いやー、それは困りますねぇ」
「?!」
いつの間にか現れたのか、黒装束を着た男達がそこに立っていた。
そのリーダーらしき男は、隙を見せずにこちらに話し掛けてきた。
「やはり、貴方でしたか。さっきまでドワンゴ村に居たはずなのに、なぜこの村にいるんですかね?」
「お前は誰だ?」
全く気が付かずに現れた男達に警戒しつつ、いつでも攻撃出来るように構えつつ質問を投げかける。
なんだろう、今までで一番いやな感じがする。
「くくく、私に名前などありません。しいて言うなら、『影』とお呼びください」
「まるで忍者だな。でも、なんで俺の顔を知っている?」
質問を投げつつ、タニアに鑑定をさせる。
意識を繋いでいるので、言葉を発さなくても通じるのだ。まぁ、普段はついつい声を出しちゃうけどね。
「貴方の動向は視てましたよ?西の森できえたはずが、生き残った挙句に何故か東に出現したダンジョンを攻略していたりとかね」
まさか、追い出してからずっと監視していたのか?……いや、それならこの村を救う前に邪魔していたはず。
だとすれば、ずっと見てたわけじゃなさそうだ。
それなら、まだ俺がどれだけのステータスかは把握してないはず……と、思いたい。
「随分詳しいな。それならどうやって攻略したかも知っているんだろ?」
「ふふふ、随分と余裕ですね。
もちろん、貴方がスキル『
顔は見えないが、ドヤ顔してそうな、雰囲気だな。だけど、あの時は使ってないよ?
もしや、俺の反応を伺っているのか?よそ、だったら敢えて乗ってやろう。
「へー、凄いね。そこまで知っているんだね?
だったら、俺には勝てないと分かるんじゃないか?」
「手の内がバレている時点で、貴方は負けているんです。同格の相手に勝つ方法など、戦闘のプロである我らは熟知してます。大人しく降参してくれませんか?」
なるほど、同じステータスなら自分が勝てるスキルを持っているのか。
(マスター、鑑定が終わりました)
(結果はどうだ?)
(暗殺系のスキルを多く所持していますが、驚異ではありません。ステータスを開示しますね)
(頼む)
(承知しました、マスター)
ザカール
29歳 男 暗殺者
レベル:65
HP1550/1550 MP850/850
力:1100
魔力:890
体力:900
知力:780
敏捷:1200
技量:980
運:620
スキル:『暗殺剣』、『毒付与』、『隠蔽』、『毒耐性』、『読心術』、『暗黒魔法』
うおー、普通に強いな。てか、騎士団長よりも強いじゃないか。
それでも、俺よりもステータスはかなり低いな。
怖いのは、スキルに『暗殺剣』と『暗黒魔法』だな。見た目からしてやばそうだ。
「さて、観念してくれましたか?」
「はは、何を言っているか分からないな」
「……、残念ですね。
皆の者、アイツを殺せ」
ザカールが指示を出すなり、その部下が散開する。さすがはプロ、いくら俺がステータスが高くても全員の動きを追うのは無理だ。
しかし、俺にはタニアによるサポートがある。俺には見えていなくても、タニアの探知する能力のおかげでレーダーで把握するように分かるんだよね。
俺もミスリルの大槌を構える。
手加減しつつ、相手の出方を見ることにした。
もし全力で殴った場合には、相手がミンチになる可能性があるからな。少し手加減してやらねば、人を殺めてしまうことになるし。まだその勇気はない。
「そんな大振りするとは、やはり素人だな」
「影とか言ってた癖に、お喋りだな!」
ブウウンと音がなるほど大振りして、相手の油断を誘ってみる。
すると、一人の男が俺に隙を見つけたのか、懐に飛び込んできた。
(甘いな、丸見えだよっと)
心の中で呟きながら、ミスリルの大槌の柄の部分で相手の脇腹を軽く突く。
「ガハッ?!」
更に裏にいる男に接近し、肘鉄を繰り出した。
ほぼ体当たりに近いけど、俺の速度でやるとかなりの威力になる。
「オゴアッ!?」
あ、ちよっと吐血してたけど大丈夫かな?
まぁ、相手はプロだしあれくらいで死にはしないだろ。
「なっ……?! 一瞬で二人も倒しただと?」
どうやら『鑑定』がないと相手のステータスは開示されない限り分からないようだな。マリウスは、持ってたけど、意外とレアスキルなのかな。
「驚いている場合じゃないよ?」
リーダーなら、多少強くてもいいかな?
よっと!いいながら、大槌の柄の部分で思いっきり殴ってみた。
「ぐっ、うぐぅ……、なんだこの力は?!」
うん、ただの馬鹿力ってやつだけどね。
まだ何かのスキルを疑っているみたいだな。
「く! だが、力だけでは私は倒せないのだよ?」
ザカールがそう呟くと、急に背中に悪寒が走る。
そして、背中に痛みが走った。
「がっ?! いってえええっっ!!」
慌てて飛び退くが、前の前にいたはずのザカールが消えている。
なんだ今のは?というか、こっちに来て久々に明確なダメージだっ!!
「マスター、『暗殺剣』です!」
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