第37話 疑い
雪ノ瀬瞬は咲薇がこの前口にしていた事件のことが気になりそのことについて調べていた。するとそれらしき事件やそれについてネット上で語り合った書きこみなどがすぐに見つかった。
『8月22日大阪府内の暴走族のメンバーだった鏡叶泰はそのチームを抜ける為にメンバーから暴行を受けていた。
その後の逮捕で少年たちは確かにケジメとして暴行は加えたが生きていたし凶器は何も使っていないと声を揃えた。
しかし鏡叶泰は刃物による刺殺死体で見つかっていて死因も失血死で間違いないと言う。
暴行を加えた少年らは全員逮捕されたものの、ついに誰が何故彼を殺してしまったのかは分からないまま1年が経ち、警察では今も有力な情報を求め捜査している…か。どうやらこれに間違いないなさそうだけど…』
瞬が気になっているのはその死んだ男の亡霊が今尚暴走族を襲っている、という点だった。
鏡叶泰が死んだ後、しばらくは叶泰のチームのメンバーが襲われ続けた。だが、それからは叶泰に全く関係ないレディースが狙われ被害にあっている。
ネットでそのことについて語り合う書きこみもいくつか見られ、その中に目に止まるものがあった。
「ぶっちゃけ犯人誰やと思う?」
「鏡叶泰と関係のあった女の復讐くさいよな」
「じゃ陽炎朱雀の誘木浬?」
「アホ、そんな訳あるか。陽炎朱雀が何人やられたと思てんねん。自分のチームの子襲わんやろ」
「そんなん言うたらみんな一緒やん。今この辺のレディースは襲われまくっとんのやから」
「でも暴走侍だけ襲われてないらしいよ」
「え?ホンマ?」
「そういえば椿原萼、昔叶泰と付き合うてたて誰か言うてたな」
「ほんなら椿原が犯人?」
「風矢咲薇は?」
「風矢咲薇は確か幼馴染みて聞いた気がする」
「でもあの2人結構距離近かったやん。実は影でできてたんちゃう?」
そこまで見て瞬は急に咲薇の名前が出てきたことに疑問が浮かんだ。
あの時咲薇は事件のことは話したがそれがそんな身近な人物のことだとは一言も言わなかった。言いたくなかったんだとしたらその気持ちは分かるが、やはり瞬は何かが引っかかった。
『まさか暁さん、巻き込まれたりしないよね…』
そしてそれが1番心配だった。
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