第4話4
一時間が永遠に感じるような時の流れを嫌というほど味わった。あんなに暇で退屈な時間がこれからずっと続くと考えると憂鬱になる。
なんの話かって? もちろん授業の話。一般的な高校生(当社調べ:サンブル数1名)の10割が面倒くさいと思っている学校活動です。
いや、分かるよ? ちゃんと授業は聞かなくちゃいけないし、ちゃんとノートとかもとらなくちゃいけない。予習、復習もしっかりして、授業には万全な体勢で挑まなくてはならない。
でもさ、こちとら高校受験で燃え尽きたんだ。一年間くらい・・・さ? 少しくらい休んでも・・・。
そう、休もう。なんで放課後にも関わらず、自分の席に放心状態で座ってるんだ?さっさと机の中にしまっている枕たちをカバンにしまって家のソファーにダイブしなくちゃいけないのに。
「永峯くん?」
カバンに教科書を入れ始めると、横から声が掛かる。例のあの人だ。いや、言い方に語弊があるな。別に名前を呼べないあの人みたいな扱いじゃないからね?
「会議まではまだまだだよ?」
うすうす気付いていたけどね。忘れたってことで帰ればいいんじゃない?とさっきから騒いでいた脳内天使が膝から崩れ落ちていた。さっさと退場してもらおうか。どうやら会議からは逃れられないらしい。
「あれ? 何時からだっけ??」
帰ろうとしていた事を隠すように、平然と。よし、完璧。
「五時からだよ。それより、帰ろうとしていたでしょ?私には分かるからね」
なんでも見通していますよ、と言いたげな顔を俺に向けていた。
「・・・バレてた?」
「余裕だよ。私、永峯くんのことよく見てるから」
そういう彼女の顔は笑顔だった。だが、その顔は徐々に赤く変化しする。
「あ、隣の席だからって意味ね?」
手を前で振りながら、照れると思えないその表情を持った白浜はお世辞抜きに可愛かった。得体の知れない何かを感じる人だが、その美貌に見慣れていない姿が重なるとそんなことどうでもよくなる。何かを感じることすら出来なくなる。
「分かってるって」
そう言うのが精一杯だった。
は~っ、と表面温度が高そうな肌を手をうちわ代わりにして仰ぐ彼女を横目で見る。隣の席だからって言われて「はいはい、なるほどねっ」となるほど思春期チンパンジーは単純ではない。明らかにに気があるように見える。
でも、もしこれが通常運行だったら・・・・。
この子怖すぎでしょ。もう国指定の危険人物に認定すべきだ。さもなければ、全国の純情高校生が騙されることになる。危険だ・・・。
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