1.3

 私は回復を遂げ、恩返しではないが2人の生活を手伝っている。猟銃を担ぎ森へ入って行く大男の名前はダージ・グラント。それを見送るのが息子のコリー・グラント。それに猟犬のジル。彼らは山奥で狩りや畑を耕し生活している。ダージはコリーとジルと共に山の落ち着いてる日は狩りへ出かける。今日は天気も風も良く狩り日和とのことだ。私を見つけた日も今日の様だったと言う。

 森の中は木々に覆われ、少しの木漏れ日の明かりを頼りに獲物の痕跡を探す。動物の足跡、糞、獣道を見つけながら森の奥へと辿って行く。息を潜めながら進ん行く途中、ジルが突然に走り出しコリーも続いて走りついて行く。


「ジル!どうしたんだ!!」


「待てコリー1人は危ない!!」


ダージの注意も聞かずにコリーはジルを追いかける。ジルは目的のものを見つけると居場所を教える様に吠えた。


「ワンッ!ワンッワンッ!!」


「やっと追いついた。何があったんだ??」


ジルの近くには血だらけの私が倒れていたと言う。擦り傷や打撲が全身にあり、骨に異常がないのが不思議なくらいボロボロだった。


「起きて!!大丈夫!?」


「……………」


「そんな!!」


コリーが声を掛け体を揺らすが、私の反応は無く死体と勘違いをし腰を抜かす。遅れたダージが状況を理解しコリーに声を掛けながら私を担ぎ助けたくれた。2人は私のことは何も聞かずここでの生活を促すかの様に受け入れてくれている。聞かないことが優しさなのか、私はそれに甘え数週間の時が過ぎた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る