地味だけど好きなんだよな。
アニメや漫画、ライトノベルでは様々なシーンが構成されて各自好きな展開というものがあると思う。
窮地に立たされた主人公が覚醒して敵を一蹴するとき
人をさんざん虐げてきたキャラクターに鉄槌が降されるとき
欠陥機と呼ばれたロボットに乗りながらも最新鋭のロボットを相手に圧倒するとき
とまぁカタルシスを得られるような展開は創作物の醍醐味ともいえるが、それを最大限に感じられるようにするには脇のキャラクターが織りなす展開も大事だと思う。
私が特に好きな展開はバトルもの作品で、主人公の戦いの要点が主人公のライバル陣営と味方陣営で一致するというやつである。
これだけざっくり書くとなんのことやらさっぱりだと思うので例として、モータースポーツ漫画の金字塔「
「頭文字D」とは主人公である藤原拓海がハチロクという作中の年代からでも旧式である車を超絶テクニックで操り、数々の名車たちと峠でバトルを繰り広げるいわずと知れたモータースポーツ漫画である。(峠の暴走行為をモータースポーツというのは賛否があるが……)
この漫画の特徴の一つとしてレースを見守るギャラリーの解説がある。
主人公らが峠で壮絶なバトルを見せつけると嬉々として車の解説からテクニックの解説を披露し作品の臨場感を際立たせている。
なかでも例に挙げるのは中里戦である。中里戦は単行本では2~3巻に収録されている。
中里は日産GT-R(R32)操るドライバーでそのR32とハチロクがバトルすると決まれば主人公のバイト仲間や店長、ライバルである走り屋チームレッドサンズの面々らがGT-Rについてあれやこれやと言い出すのである。
基本的に頭文字Dの序盤は新しい車が挑んでくると仲間たちがその車の特徴を説明し、今回ばかりは無理なんじゃないのか……!?という展開が続くが今回も例にもれずそんな感じで話が進み、ハチロクが敗色濃厚となる。
そしてバトルが開かれる夜に拓海が山に向かう中、別場面で拓海にドラテクを仕込んだ張本人でもある父親の文太とレッドサンズのリーダー高橋涼介が口をそろえてGT-Rの弱点について語りだす。
文太「GT-Rの弱点……。そりゃーズバリボディの重さだろ」
涼介「スーパーフロントヘビーからくるアンダーステアがGT-Rの弱点だ」
文太はガソスタの店長と電話しながら、涼介は現地で……と両者別場面で解説しているわけだが、作中トップクラスのドライバー二人の見解が多少言い回しが違うものの大方一致する。そしてバトルはその指摘通り展開し、拓海は勝利するといった内容である。
このシーンは特に名シーンでもない上に対して話題にも上がらないシーンだが私は思いのほか気に入ってる。同じような展開がある漫画はほかに見たことはないがかなりやり尽くされた演出なのではと思う。
基本一人称で進むような小説では視点変更が多くなってしまい、この手法を用いるのはテクニックが必要だろう。漫画ではコマ割りによって視点を変更できるために比較的スムーズに理解しやすい。総じて漫画的な展開と手法と言える。
好きな展開だからと自分の小説で導入するかどうかはその時次第だが、こういう粋な展開は今後の参考として蓄積しておきたいと思う。
もしかして私は主人公の活躍が書きたいのではなく、サブキャラクターがやいのやいのと解説しているシーンが書きたいだけなのでは……?と思わないこともない。
面白いかどうかではなく好きだからそんな展開にした。作者の自己満足のように捉えられるだろうがそれがなくてはやりがいも感じられない。
少なくとも私はそういう姿勢で書いていたい。
だからなんでもいいから早く一作書けってのッ!
底から始めるか No. @00xbainda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。底から始めるかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
雨添れいの被らない日常!②最新/雨添れい
★30 エッセイ・ノンフィクション 連載中 106話
『エッセイ』それでいいじゃん最新/はた
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 12話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます