第8話自作はすごく愛着湧いちゃうよね②

 《虚空魔法》を作る過程で、根源の所をちょっと間違えてできた、物作りとは対極の魔法、《消去魔法》。

 ある意味、《虚空魔法》と同じで、その実全く違う魔法。《虚空魔法》が何もない空間を作り出すのに対して、《消去魔法》は空間から何もかもをなくす魔法。かなりの高火力で、かつ高防御力をもつ。扱いは他の概念固定魔法の何倍も難しいけどね。


「よし…………《消去球デリートボール》」


 触れたもの全てを消滅させる超危ない球。地面に当たったら危ないから、出したボールの直径の5倍の範囲を消滅するようにしてある。まあ、そもそもこの星を消そうとしたら、それこそ10個分の星の魔力が必要だからね。範囲が広がると、コスパが悪くなってくんだ。最大限のパフォーマンスを出すには、直径10センチの、5倍の範囲を消滅させることだ。

 放った直線上の木々を、直径50センチの円状に抉って進んでいく。10メートル進んで消えた。


「わぁ……うん、想定通り。想像通り」


 見てた感じ、ボールに触れた瞬間に抉られるっぽい。


「じゃあ次は………《消去壁デリートウォール》」


 半透明の壁が現れる。試しに、落ちてた小石を投げると、触れた箇所から消えていった。枝を押し当てると、これも触れたところから消えていく。

 うは………最強の盾と最強の矛じゃん……矛盾だぁ。


「《消去球デリートボール》」


 好奇心で最強の矛盾ほこたて勝負してみたら、触れ合った瞬間に両方消滅した。

 防いだけど破られた、消し去ったけど貫けなかった………これは引き分けだね。まさかの最強の盾と最強の矛ができあがっちゃった。


「…………《全消去オールデリート》」


 対象を限定し、それを消す魔法を手のひらに付与する。付与したところは消滅しないし、手のひらじゃなくて枝や武器、空気や空間にも付与できる。触れたものを完全に消滅させる魔法。

 木に触れると、一瞬で、根ごと消え去った。


「うん、完璧だね」


 今回限定した対象は木。石や服なんかを触ってみたけど、消えなかったから成功だ。


「うん………正直これ以上いらないね」


 範囲消しと、完全防御と、限定全消し。これ以上は本当にいらないね。これでさえも、若干いつ使うの?って感じなのに、他にできたらいよいよ使わないよ。


「………………でも、だからって練習しない遊ばないわけにはいかないよね」


 あ、そうだ!エルフさんに教えてあげよー!久しぶりに会うぞぉー!

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