第3話初めまして

 魔法、もとい《魔砲》を撃ち続け1時間。夢中になりすぎて本来の目的を忘れてました。


「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん……なぁににしよぉかなぁ〜〜〜〜?」


 現在時刻午後11時。

 あれからずっと《魔砲》を撃って撃って撃ち続けて、プレゼントのことすっかり忘れたまま撃ち続けて気がついたら夜ご飯の時間。

 いつも通りにご飯は進み、夜の魔法の練習の時間になってやっと思い出したプレゼント何にしようか問題。

 現在私は切り倒した木をちっちゃい板にしたものを魔力を使って空中で弄びながら、プレゼントのことを考えていた。


「別に今すぐ焦って用意する必要はないけどぉ…もし決まったものが早めの準備が必要だったら困るしなぁ…早く決めなきゃなぁ…」


 そうやってう〜ん、う〜んと唸っていると、足下にネズミがやってきた。


「うん?どーしたの?」


 ネズミさんは『チュチュウ』と鳴くと走っていった。

 着いてきて欲しそうだったから、後に続いてく。


「どこ行くの?」


 森の、奥へ奥へと進んでいく。

 それなりに奥に進んだあと、ネズミさんは、急に茂みの中に飛び込んで行った。

 そのまま茂みの中に行こうか迷っていると、ネズミさんが顔だけを出して、『この中だよ』と言って(ような気がして)また、茂みの中に入って行った。


「よくわからないけど……とりあえずいくか!」


 先に何があるかわからないし、なんで連れてこられたのかもわからないけど。茂みの向こうに行ったほうがいい気がしたから。


「えい!」

「わぁ……」


 茂みを抜けた先は、湖があった。今日はちょうど満月で、今は月が真上にあって、月光が上からも、下からもやって来て、なんの偶然か風がなくて、湖の中にも空があった。神秘的って言葉が、この景色のためにあるんじゃって思うくらい綺麗。

 しばらく、もしかしたら少しか経ってないかもだけど、その光景に見惚れてると、すぐ近くから声がした。


「おい、お前、誰だ。何しに来た」


「んぇ?え、あ!えっと…リリア、です!初めまして!ネズミさんにいざなわれました!」


 突然話しかけられて、びっくりして、声の方を見たら、すごい綺麗な瞳が見えて一瞬見惚れそうになりながらも自己紹介をした。

 大事だからね、自己紹介。誰だって聞かれたし。


「ネズミに?」


「はい!……えっと、あなたは誰ですか?」


「……エルフィだ」


 そっぽを向きながらそう言った。

 この人、よく見たら耳が長い!エルフさんだ!


「エルフさんのエルフィ!よろしくお願いします!」


「あぁ…」


 ?なんだか、元気が無さそう?どうしたんだろう?


「えっと、な、何をしてたんですか?」


 とりあえず、立ったままだと疲れるから、隣に座りながら聞いてみる。

 少し間が空いて、エルフィ、略してエルフさんは口を開けた。


「お前には関係ないだろ…なんでそんなこと聞くんだよ…」


「うん、関係ないよ。初めましてだし。でも、気になるから!気になって気になってしょうがないから!これで夜も眠れなかったら私も関係者だよ!」


 完全に屁理屈だ。でも父様も母様も、『どんなに屁理屈だろうと、強引な方法だろうと、手を差し伸べて欲しそうな人がいたら、その人の目の前に自分の手を突き出しなさい』って言った。だから、手を突き出してみた。


「めちゃくちゃだな」


「うん!」


 元気に返事してみたらため息を吐かれちゃった。


「初対面の人間に悩みを打ち明けると思うか?」


「いいや、人によると思う!でも、エルフさんは言わないなって、思う」


「ならなんで聞いたんだ」


「仲良くなりたいから、お話をしたいから、後ダメ元で、もしかしたらって思って」


「なんだそりゃ」


「えへへ」


 その後、一時間ほどお話をした。最後の方は、エルフさんも楽しそうで、よかった。


「エルフさん、私はもう帰るね!また、明日!」


「勝手に約束か、まあいいよ。また明日な、リリア」


 その後、屋敷に戻って布団に包まれて、眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る