同窓会の誘いという名の不穏な手紙
「量さん、何かお手紙来てますよ。」
「俺に手紙?誰からだ……」
ある日の夕方。悠が学校から帰ってくると郵便受けにはがきが入っているのを見つける。
高校の同級生からの手紙で、内容は単なる同窓会のお知らせだった。
「同窓会かー。ちょっと時期が悪いなぁ。」
何度も言うように今は仕事が立て込むころであり、俺や白鯨が抜けると他のフリーエンジニアはもちろん、クライアントに迷惑を掛けることになる。
ましてや、金曜日の夜から連泊の旅行など、やってられない。
「そもそもアイツは同窓会とか行かないだろうしな。」
白鯨にも同じ手紙が届いているはずだが、すでにゴミ箱の中か欠席で出しているかのどちらかだろう。確かに白鯨以外の友人にも会いたいとは思う。けれどそれは個別に連絡を取ればいいだけの話。
「わざわざ同窓会なんていかなくてもいいか。」
「へぇ、普通高校でも案外そんなものなんですね。」
隣で悠が手紙を覗き込んでくる。別にみられて困る物でもないが、少し驚いた。
「まー、俺や白鯨はちょっと特殊なだけだからな。」
いじめを受けていた白鯨は、無論同窓会など敬遠するだろうし、彼とは親友だと思っている俺も、同窓会は少し遠慮しておきたい。
同窓会の幹事が白鯨をいじめていた女グループのリーダー格ということもあって余計にだ。
「欠席にしておくかー。悠、今度出しといてくれ。」
「わかりました。明日、学校に行くついでに出しておきますね。」
それからしばらくして、すっかり同窓会のことなど忘れていた頃
「白鯨、こっちの仕事は光に任せてもいいんじゃないか?」
「いやいや、光殿にはこの仕事も任せているから、こんがらがってしまっては大変でござる。」
余りの忙しさに思わず血反吐を吐いてしまいそうになりながら、パソコンとにらめっこを続ける。終わったと思った仕事のミスがいくつも出てきて苛立ってきた。
誰が悪いというわけでもなく、どちらかと言えば、自業自得なのだが、どうにも腹が立つ。
「ん、電話……。仕様変更の連絡とかじゃありませんように!!」
見覚えのない番号だが、どこかの会社の担当者以外の人の番号ということもある。わざわざ非通知設定をしていたら怪しむが、そうでなければ普通に出てしまう。
「白鯨、少し電話に出てくる。」
「わかったでござる。」
パソコンでしていた通話を切って、スマホの電話に出る。
「もしもし、虹村です。」
「あー。量くん番号代えてなかったんだ!!ねぇ、私の事覚えてる?」
忘れるはずがない。この派手でやかましい声は。
どこか耳障りな甲高く気だるげな声だけは。一度たりとも忘れられない。
白鯨が女性恐怖症になった原因。
「
俺の、元・
……to be continued
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