I MEET ME

@Sin31415

第1話

そう言えば僕は昔からヴァイオリンを弾いていた、昔憧れたあの曲を僕の目の前で奏でさせたいその一心で。

その結果はどう言ったのもだったのかは思い出せない諦めたのか、それとも続けたのか。

下手な忘れ形見にならない、なっていないといいのだが。

まだ僕は21番だ、21をその根底に流し続けた。

 

頭が痛い、のか。

目の前のものが真っ直ぐ見えないそれを通り越して何もない。

いやおかしくないか、だって目の前には何もない。

俺はさっきまであそこにいたはずなのに、慣れ親しんだあそこにいたのに。

どうしてこんな殺風景で何もない場所にいるんだ。

目の前にはただ真っ白いだけ、部屋の中にいるのだろうか無風ではある。

だがそれ以上のことは何もない。

もし部屋だったらどうして視界のどこにも壁らしきものかはたまた天井らしきもの。

せめてこんな目が痛くなるほど綺麗な白色なのだから照明くらいあってもいいんじゃないか、てかないとおかしいんじゃないか。

何でそれがひとつもないんだ。

影は、影は一体どこにいってしまったんだ。

てか普通に考えて目の前の直線が直線であるのもおかしくないか。

もしここが空間であるならば目の前の直線は不自然だ、だって視界の限界まで行っても曲がっていない。

もし僕の視力を持ってすれば簡単に地平線くらいまではあるはずなのに。

俺は目の前に真っ直ぐと進んだ。

正確に言えば真っ直ぐ進んでしまう。

思わず足が動いてしまう、ただ前へ前へ進んでしまう。

しかし見栄えはちっとも変わりはしない。

それだけじゃない、首が動かない。

いや俺はそれに気づいたのはいつだ。

さっきまで俺は歩いていたのか。

だって立ち続けていたじゃないか。

そう言えばここに来るまでに俺は何をしてたんだっけ。

より正しい言い方をするならこの場で目覚めるまでにれは何をしていたんだ。

後ろににも前にも何もない、それこそ扉もない、入り口も螺旋階段もない。

なら俺はどうやってこの空間に現れたんだ、入り込んだんだ。

よく思い出してみるか、思い出すものなのか。

なぜだろうそれもできない、させてくれない。

確かに俺はあそこからきたのだけど、それ以前はどうしてたんだ。

ただ部屋に、部屋の一面を眺め続けていた。

そんなことはないはずだ、何ぜ俺には彼女たちの記憶があるのだから。

不可能だ、もし部屋に居続けていたのなら僕にそんな記憶は生まれない。

それだけ確認して俺は頭を軽くこれね回すように触った。

もう何度やったか思い出せないこの動作は僕の頭の骨の形を変えてしまっているのではないだろうか、指の骨の出っ張った場所は顎からの直線上にして一番中指を添えやすい場所にフィットしている。

これはもう形が変わってしまった結果多度言っても差し支えないんじゃないだろうか。

そうじゃないんなら、元からこんな感じだったのか。

いやそんなことは…そんなことは…ないに決まっている。

それであったならば僕あの時このような結論を出すはずがない、もしそんな結論を出せるのならば俺は。

考えすぎて足をつまずいてしまいかけてしまった、やはり足を使うことはたまにはしたほうがいいな。

そう言えばそんなことをあの紫髪の人が言っていたのだっけ。

いやあの人のことだ言葉にした上で気づかないようにそれを僕にやらせるだろうな。

そうでなければ俺はそこに/////を感じない、片鱗すらも破片すらも糸口すらも。

その補正もそうさせられたのも元はと言えば彼女のせいだった気がする。

そうだよ、彼女がただひたすらに俺を俺にそう思ったのが問題だった。

あんなに詰め寄ってくるそれは異形のそれだったんだよ。

水の滴るような音が常態的であるあれからは比較的すぐに味が消えた、しかしそれは僕の主観でしかなかった。

あちらの主観ではそれは紛れもないうそだった。

まだ味があり、噛見直す価値があると十分に言えるものである、そう本人は何度も主張してきた。

しかしそれはそうなのかもしれないが僕にはそんなものは感じられなかった、それほどのものを僕は感じることができなかった。

ただそれだけじゃない、その姿は本来忘れたかった存在、橙色の豪奢な髪を自由奔放に振り回させ、プラチナの剣でも振り回す気持ちで僕を弄んだ。

僕が押し倒すことしかできなかった彼女のそれだった。

そう言えばその黄土色のあれを目覚めさせてしまったのもまた僕だったのかもしれない。

ただひたすらに動かず、ただひたすらに直国のように振る舞うあの白髪の彼女に触れ合っていた。

その頃の垢を抜き切ることのできなかった僕が悪かったのだろうか。

今久方ぶりにあの存在についてテーブルに乗せたせいか、そう思ってたまらない。

だがそれは良かったのかもしれない、そうあんな停滞していたのもまた僕には心地よかった良かったんだったかな。

まあそう感じるのも仕方ないんだよな、あのどこか地面に似たような、生命に満ち溢れたそんな綺麗な配色をしていたあいつに遊ばれていたのだから。

俺は同情してやるよ、そのための俺だし、そうなってしまったお前だしな。

歩くために殴った、見たくもないほど綺麗な黄色に何度染色したって。

それでもどうしようもないんだよな。

逃げるために、逃げて。

それでも逃げて。

大変なんだよな。

押さえつけられて、逃げられなくて。

だがそれ以上にお前が悪いんだぜ。

だってただ捕まえて食らってしまうだけの赤い悪魔をお前が自分の腕で楔に変えちまったんだから。

それを自分に突き刺したんだぜ。

突き刺した代償だとでも笑ってくれればいいじゃないか。

そうともいかないさ、だってそのせいでお前は逃げ続けたんだろ。

楔に血を塗り固め続けてさ。

色をつけ続けて、あろうことか楔を人間にしちまったんだろ。

見てみろよ、もう動くはずだぜその首は、お前の願うままに。

確かに僕の首は思うように動くこの虚空をただ微動だもせずに歩き続けていただけなのに。

お前はもう六つめを数えたんだよ。

お前は数え切ったんだよ。

お前が心配すべき人たちは消えた、//したんだろ、忘れないでやれよ。

それでも僕はそれでも僕は。

いい加減にすればいい。

これは忠告だ、死にゆくものが、同族に捧げるな。

それにまだ語るべきことがあるんじゃないか。

なあ君は知っているかい、それを語れば僕は。

犯したら死に至る罪を重ねるな、して積み重ねる罪かもしれなかもしれない、しさレルやつの犯していた罪のことかもしれないが。

まあ俺にはわからない、せめてエンドロールくらいはちゃんと拾ってやれよ。

溢れるのを抑えることしかできなかったお前が。

僕がやってやらなかいけないのか。

当然だよ、それにこれを伝えるのが俺の生まれた意味なのだから。

それはすまなかった。

せめて俺とお前の仕事が終わったとしてもその綺麗な青がなくならないようにしてくれよ。

それはできないね。

それは悪かった、そう言えば俺たちがこうなったのはこの青さだったな。

そうだよ、それに僕らは本当の無罪の青をまだ知らないだろ。

海にでもいけばわかるのかな。

さあな、俺にそれを聞くなよ俺も知らないんだから。

 

じゃあ後日談を呼ぶために前日譚を語ることにしよう。

彼の俺の意見を尊重して。

そう僕の青さは人に誇れるものではない。

誰かに教わったわけでもない見解だ、きっとこの結論の生まれた理由はこの青さと同じなのだろうね。

そう言えばだがこの青さはもし赤い引き金がなかったら。

僕が縛られなかったのなら、もし彼女に出会うことのなかったのなら。

もし僕が青かっただけなのならそうじゃなかったのかな。

そうだったら嫌だな笑えないよ。

二十人の兄さんにも謝らなくちゃならない。

弄ばれ、//された僕はきっと無実だった。

僕ではない人だったら無実で終わっていた、それは決して引き金になりはしなかった。

しかし僕は青かった、青さが僕の髪色だった。

だから引き金になってしまった。

 

目の間に影が見えた、その出っ張りをひねり扉を開いた。

そうして目の前にいた誰か。

振り返るあなたは誰。

七色のあなたは一体誰。

「なるほどがんばれ弟よ、22番目」

 彼はただ手を振って、髪を少し撫でて靡かせて何番か僕に飛ばしてその扉の向こうに足を踏み入れた。

「私、行ってきます。

 兄さん」

「ああ、存分に置いていってくれ」

「そうさせてもらえます」

「流石僕らの弟だ」

「ありがとうございます」

彼がその扉を閉じようとした時俺は最後に一言絞り出すことで生み出した小さな力で最大の笑顔をしてこう言った。

「綺麗な髪だ、もう俺たちのようにはきっとならないな」

「機体に添えるように頑張ります」

「地面の底からでも見守らせてもらうよ」

俺たちの誇れる弟はその言葉だけ残して扉を閉めた。

もうどこにも光はない、だがその分光もない。

「「仕事は終わった、生まれた理由を果たした。

これであいつは何にも縛られない。

罪も全て俺たちが償った」」

俺はもう一度そのフィットの良い頭に指を押し付けた。

小指の先で少し変な感じがする、まあこの程度は俺たちの清算の代金にしては安いだろ。

さてと疲れたな、本当に疲れた。

案外半年しか経ってないんだがな。

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