第12話 閑話~店長と女将の会話2
「・・・無事、二人は会えそうですね」
「あぁ、うまくいったようでなによりだ」
神楽くんが転生したあと、無事湊くんと会えるかを見守っていたが、無事再会ができそうで安心した。
「別々に転生してからも一緒にいたいと思えるような転生者たちの願いくらいは叶えてあげたかったからね」
転生してしまえば、もう僕たちからは手助けができない。
創造神は箱庭を管理しているが、あくまでも箱庭の維持をするだけだ。
箱庭の中の事象については、基本的には干渉ができない。
箱庭の環境を整えたり、箱庭のあり方を決定した後は基本見守るだけなのだ。
箱庭がどんな姿に成長するかは、箱庭の中に生まれた子供たちの選択の結果でしかない。
このため、箱庭そのものが壊れるような事態にならない限りは干渉することができない。
しかし、箱庭の中に入る前であればある程度干渉することができる。
そのことを利用して、転生後の問題を少しでも減らすためにこの酒場はうまれたのだ。
「本来ならば、転生先の箱庭を管理する創造神の仕事なんだけどね」
「箱庭の管理だけとはいえ、創造神が個別に対応するには手がかかりすぎます。だから引退した私たちのようなものがやるしかないのです」
持ち回りで担当するという話もあったが、今後のことも考えて情報を収集する目的で、転生者を一箇所で管理しようと言うことになったのだが、押しつけられた僕からすればたまったものではない。
「隠居した他の創造神たちが協力的なのは助かっているけど」
技能を習得するに当たり、人材の派遣や教育環境の構築など、僕一人では対応できない部分はいろいろと助けてもらっている。
隠居した創造神は、多くの眷属神を育てており、彼らに管理を代行させることで隠居している。
逆に言えば、人材を多く抱えているため、探せば基本教育係には困らない。
「後は転生先で問題を起こしてなければいいのだけれども」
「今の所は特に報告はありません。酒場の方も対応できいます。ただ、教育係から少し要望が上がっています」
そう言いながら書類を差し出してくる。
「・・・嗜好品を増やせって話は各自対応してもらってくれ。研修用の箱庭の階層については、優先度の高いものから調整しよう」
転生者はまだまだいる。
当分のんびりはできそうにないなぁ。
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