第2話

 食事場のドアを開ける。貴族の屋敷にありそうな豪華で大きなテーブル。そして椅子もまた豪華な装飾がされている。

 それだけでは無い。天井のシャンデリアも、床の細かな裁縫がなされたカーペットも、全て私の趣味だ。ゴーレム姉弟からは眩しい、趣味が悪いと不評だが、皆この装飾の素晴らしさがわかってないだけなのだ。うん。

 ちなみに他の、というかこの屋敷全体がこのような豪華な装飾がされている。外観も屋敷というよりも、もはや城だ。とてもでかい。もちろん、全て装飾済みだ。見たものが思わずその尊さを直視できずに目を背けてしまうような、素晴らしい輝きを持つ黄金の城。いつかゴーレム姉弟にもこの素晴らしさを共有できればなと切に願っている。


 そんな素晴らしい食事場には、私とライアの他に、もう一人いた。


「おはよう御座います、マスター、姉さん」


 そう挨拶をしてくれたのは『ライリ』。ライアとは姉弟の関係(と言ってもゴーレムだが)だ。姉と同じく白い髪、黒い目をしており、顔もよく似ている。きっちりとした執事服を着ており、とても似合っているのだが。


「うう・・・おはよう、ライリ。君はこの暴力メイドとは違って可愛いね。うん」


「おはよう、ライリ。今日も可愛いわよ。ってかマスター、なにしれっと私のこと暴力メイドとか言ってやがるんですかシめますよ?」


 そう、可愛いのだ。身長が僕の半分ほどしかなく、姉と比べても小さい。そのくせ中性的な顔立ちをしている為、いくら男っぽい格好をしても子供が背伸びして着ているようにしか見えない。後ライア、しめないでくびががががが


「もう、二人して可愛いだなんて言わないでください!何度も言ってますが、僕は男性として設計されているんですよ! マスターの護衛なんですよ! 強いんですよ!」


 マスターが命の危機だというのに全く気にせず、ぷんぷんと頬を膨らませながら怒ってくる。


「「うわっ・・・」」


 可愛い。


「やっぱ可愛いわねー! うりうりー!」


 その可愛さに耐えきれなくなったのか、私の首から腕を外し、ライアはライリに抱きつき、その頬をすりすりし始めた。


「あっ、ちょっと姉さん、やめてください!ちょっと、姉さんってば!」


「うわっ・・・」


 これは、いけませんな。うん。自分で創りあげた二体だが、これは・・・いけませんな。うん。


 そうしてその光景をじっと眺めていると、ライアがこっちに気付いた。


「あげませんよ」


「まだなにも言ってないよ」


「それよりも、姉さん!マスターも!早くご飯を頂きましょう?」


 おっとそうだった。このままではご飯が冷めてしまう。


 ライアもそれに気づいたのか、とても名残惜しそうにライリから離れていった。


 そして全員が席につく。


「「「いただきます」」」

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