第3話:再会
翌日から私は、今まで通り大人しくてお淑やかな女の子を演じた。
しかし、その一週間後の放課後——
「あ……この間の……」
カツアゲ現場を目撃した日に出会ってしまったあの少女達と、街でばったり再会してしまった。よりによって、友人達と居る時に。
「えっ。な、何?桃花ちゃんの知り合い?」
明らかにヤンキーっぽい風貌をした彼らを見て引いてしまう友人達。私は咄嗟に、昨日絡まれているところを彼らに助けてもらったのだと説明した。嘘をつくことにはもうすっかり慣れていた。
「先日は本当に、ありがとうございました」
「お、おう……」
困惑する少女達に「頼むから話を合わせてくれ」と友人達には聞こえない声で懇願する。
「……あの時、大丈夫でした?どこも怪我してない?」
少女は空気を読んで合わせてくれた。
「はい。おかげさまで」
「そうか。良かった」
「本当に、皆さんが助けてくださらなかったらどうなっていたかと思うと……」
「……昨日とキャラ違いすぎだろ」
少女の連れの少年が呟く。しかし、私は動じない。そう言われることは想定済みだ。
「言われてみれば確かに。お姉さん、昨日はあんなに怖かったのに。案外大人しいんですね。もしかして人見知り?」
そう言って私は少女の方を見る。彼女は困惑するように「あたしの話なの?」と少年と私を交互に見た。
「いや、この人もだけど——」
余計なこと言ったら殺す。と、少年に目で訴える。殺気を察したのか「そうなんです。この人人見知りなんですよ」と苦笑いしながら話を合わせてくれた。
「なんか、見た目は怖いけど良い人っぽいね」
「ね」
「ねぇ桃花ちゃん、お礼しなくて良いの?助けてもらったんでしょう?」
友人の一人が余計なことを言ってきた。本来ならそうすべきではあるが、私は別に助けてもらっていない。たまたま通りかかっただけだ。
「……お礼なんて良いっすよ。代わりに、連絡先もらってもいい?」
「うわっ。何?姐さん、この人口説く気?」
「ち、ちげぇよ。そんなんじゃねぇ」
どういう意図があるんだと一瞬警戒したが、友人の手前、仕方なく少女と連絡先を交換した。
「ぼうづきさん?」
「
「もちづきって読むのかこれ。へー。あっ。あたしは
北桜工業高校。通称北工。有名な不良校だ。
対して私が通うのは
あの日、カツアゲ現場に遭遇しなかったら彼女達との接点はなかっただろう。この時はまだ、無視して帰れば良かったかもしれないとあの日のことを後悔していた。
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