第31話 君はきっと さんが好きなんだね

なんかその。

訳が分からない娘に絡まれた。

俺は暫く話して結論が纏まった和也達と別れてそして雫と大輝君とも別れ次いでに双葉に先に帰ってもらってから。

俺は佐藤に電話をした。


「どういう事だよ!?」


『落ち着いて。.....その娘はエロゲ友達だよ』


「馬鹿なのか!?あの娘!?俺に胸を揉むか?って言ってきたぞ!どうにかしてくれよ!」


『アハハ.....うーん。.....どうしたものかね』


「あのな.....」


近所の公園のベンチ。

行き場所が無いからこの場所に居るが。

子供達に聞かれない様に俺はヒソヒソで話す。

俺は額に手を添えながら、だ。

まるで不審者だな。今の俺。


「佐藤。あんな娘に絡まれるのがゴメンなんだが。勘弁してくれ」


『私が頼んだ訳じゃないよ。.....うーん。まさかだよねぇ』


「.....まさか.....か。そうだけどよ.....」


さてどうしたものか。

考えながら俺は.....居ると。

そういえばその子とはその後どうなったの?、と聞いてくる。

俺は、察されない様にその娘と別れて逃げる様に出て来たけどな、と言う。

佐藤は、成程。うんうん、という感じで頷く。


『じゃあ今は一人って事?』


「.....まあそうだな。一人の状態だ」


『そうなんだ。じゃあうちに来ない?お話もしたい』


「.....またエロゲの話か?」


『違うよ。.....君と話がしたい。純粋に』


俺は真剣な声に見開く。

それから.....佐藤に、分かった、と返事をした。

そして俺は、じゃあそっちに行くわ。暇だしな、と立ち上がる。

そうしてから俺は電話を切って歩き出した。

ほうっと息が出る。


「佐藤の話.....か」


俺は3人のうち誰かがきっと特別と感じている。

その気持ちに偽りは無いと思う。

だけど決めきらない。

俺はみんなが好きだから、だ。

誰か一人を選ぶ.....か。


「.....佐藤か門司か雫か。誰が特別なんだろうな」


そう呟きながら俺は公園を後にした。

それから佐藤の家に向かう。

そして.....佐藤の家のインターフォンを息を吐いて指で押した。

直ぐに佐藤が出て来る。

やあやあ、と言いながら。


「あの。佐藤。話って何だよ?」


「うん?.....あ、えっとね。話っていうのは.....君の好きな人に関しての話だよ。何だかお邪魔も入っちゃったけど」


「.....は?.....いや。言っただろ。俺はそんな人は居ないって」


「.....本当にそう思ってる?」


「.....え?」


「女子の千里眼を舐めちゃいけないよ。.....君は.....雫さんが好きだよね」


俺は言われてから。

顎に手を添えてそのまま考える.....が。

雫の顔が浮かんできて.....そして赤面した。

まさかそれは無い。

だって俺は.....、と思ったのだが。


「.....君、雫さんと一緒の時が一番嬉しそうなんだよ?.....何だか」


「.....そんな馬鹿な。.....俺は.....」


あれ?そう言えば何だか.....結婚式の模擬をやった時。

俺は.....結構ホッとしたのを思い出した。

そんな馬鹿な!?

俺は真っ赤に赤面しながら口元に手を添える。

それから愕然とした。


「.....有り得ない.....」


「.....やっぱりね。私さっき芽久と会ったんだ。それで.....話したの。.....もうここら辺が潮時かなって、と」


「.....マジかよ」


佐藤は涙を浮かべる。

そして拭った。

私は.....負けたけど.....でも。

後悔は無いよ、と言いながら、だ。

俺は青ざめる。


「.....やっぱり昔から途切れずに一緒に居た人には勝てないと思った。.....駄目だね。途中から参加は」


「.....一途だったという事か。俺は昔から」


「.....そうだよ?気が付かなかった?.....まあだと思ったから気付かせてあげようと思ったんだけどね」


「.....佐藤.....」


「かーくん。私は君の幸せを一番に願うよ。.....だから.....幸せになってほしいな」


「.....」


胸に手を添えて。

俺は歯を食いしばってから踵を返した。

それから佐藤に向く。

佐藤は笑顔で手を振っていた。

そして、言ってあげて、と言ってくる。


「.....お前には本当に世話になってばかりだな。佐藤」


「.....私は何時もこんな感じだから。.....君を楽しめる為に居るから」


「.....すまん」


そして俺はダッシュで駆け出した。

愛しい、と思える様な.....その少女の元に。

それから.....雫の家の元に着いた。

雫は俺を見てビックリしている。

どうも.....買い物に行っていた様だった。


「.....ど、どうしたの?一馬君」


「.....雫。伝えたい事があって来た」


「.....え?.....な、何を」


「.....俺はお前が好きみたいだ。愛しいと思っているみたいでな」


「..........え、え.....え!!!!?」


予想外の言葉だったのだろう。

雫は涙を浮かべる。

それから買い物袋を落として赤面で見てくる雫。

俺は笑みを浮かべる。

そして.....雫を見つめる。


「雫。俺は.....佐藤に言われたんだけど.....それまで気が付かなかった。.....俺はお前が好きみたいでな」


「.....そ、それで良いの?君は.....」


「.....昔からきっと俺はお前が好きだった。.....多分きっとそうだ。.....何時の間にか隣にはお前の存在があった。そういう事だろう。.....未練タレタレの人間ですまないけど」


「.....私は.....構わない。貴方と付き合うのは。でも.....蕾とか芽久とか.....」


「大丈夫。.....アイツらは.....みんな俺達の事を知っている。.....だから俺達は付き合えるさ」


その時。

雫の家の玄関が開いてから大輝君が顔を見せた。

?を浮かべて俺たちを見ている。

どうしたんですか?、と聞いてきた。

俺は.....大輝君に感謝の意を伝える。


「.....大輝君。俺達な。付き合う事にした」


「.....え!?.....えぇ!!!!?.....それは本当ですか!?」


「君のお陰だよ。大輝君。.....君の後押があったから俺は歩み出せた」


「.....俺はそんなに活躍しましたか?」


「.....活躍したよ。.....だから今がある」


大輝君は見開く。

そして俺は雫の手を握る。

少しだけ息を整えて、である。

それから.....俺は雫の頭を撫でた。

俺達は見つめ合う。


「滅茶苦茶に嬉しいけど.....良いの。私で」


「.....ああ。後悔は無いさ」


「.....おめでとう。お姉ちゃん」


「.....大輝。有難う」


そして俺達は。

いや。

俺は雫と付き合う事になった。


所謂、恋人同士になる。

後悔は無い。

これで.....良かったんだと.....そう思える。


佐藤や門司が好きだったあの頃とは違って.....捻じ曲がっているけど。

でもアイツらも支えてくれると言ってくれた。

本当に.....感謝しか無い。


「お姉ちゃんを選んでくれて有難うございます。.....一馬さん」


「.....後悔の無い様にするからな。大輝君」


「.....はい。有難うございます」


大輝君は泣き始めた。

俺はその姿に頭を撫でる。

そして雫が大輝君を抱き締める。


その姿を見つつ.....空を見上げる。

色々有ったけど。

こうなるとは予想外だ、と思いつつ、だ。


答えはこれで良かったんだと思う。

アイツらに.....感謝だ。

本当に。

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