第23話 会いに行こう

佐藤がまた嘘を吐いた。

それはどういう嘘かというと.....カリオスさんのパパさんを信用させる為。

俺達が恋人同士だと嘘を吐いた。

何ちゅう嘘だよ。

バレたら殺されるぞ俺。


いや。

もう殺されるの確定かもしれないけど。

考えながら.....背後の気配を感じつつ歩く。


カリオスさんとパパさんと和也と一緒に、だ。

何処に向かっているかって?そうだな。

旅館に戻っている。

それはカリオスさんの母親に会わせたいという事からだった。

その道中。


「.....玉水先生?何しているんですか?」


「あ.....」


玉水先生が何か.....。

何だか.....恋人の絵馬の願掛けの所に玉水先生が.....。

見てはいけないものを見てしまった様な。

俺達は顔を引き攣らせる。

その中でパパさんが、おや?可愛い女性ですね、と言う。


「もしやこの子達の保護者ですか?」


「あ。はい。私.....教師の玉水と申します」


「玉水ティーチャー。初めまして。私はイーリア・フォージャックと申します。此方のカリオスの親です」


「.....あ.....さっきの.....」


玉水先生は言いながら柔和になる。

そして俺達を見ながら、仲が良いのは良い事ですね、と笑顔を浮かべる。

その中で和也が聞いた。

何しているんですか?、と。


「.....えっと.....」


「.....和也!余計な事を!」


「え?だって.....先生何かやっている.....」


「鈍感かお前は!聞くな!」


その言葉に和也はハッとしてそして申し訳なさそうな顔をした。

玉水先生は震えながら涙目で、だ。大丈夫です、と笑顔を浮かべる。

これ大丈夫の様に見えないんだが。

その中で.....カリオスさんがトドメを刺した。

もしかして.....恋人さんを探しているのデスか?、と。


「はうっ!」


「.....駄目だ.....これ以上はライフがマイナスになっちまう」


「俺たちはさっさと去ろう」


「.....だね.....」


それから俺達は何も見ない事にして去って行こうとした。

その中で玉水先生が、和也くんとカリオスさんは仲が良さそうですけど.....まさか、と聞いてくる。

何か自分の傷を抉るのが好きなのか?この人。

と思いながらも答えた。


「付き合い始めましたよ。先生」


「.....うわーん!!!!!」


そして玉水先生はその場から涙を流して去って行った。

あちゃー.....、と思いながら俺は額に手を添える。

それからみんなを見ると。


カリオスさんとパパさんは?を浮かべていた。

これは参ったな.....。

思いつつ俺は苦笑いを浮かべつつ。

まるでハムスターの様に去って行った玉水先生の方角を見る。

何も知らないって恐ろしいですね.....。



「先程の玉水先生は大丈夫なのデスか?」


「.....まあ見失ったしな.....」


「.....だね.....」


そんな会話をしながら俺達は旅館の奥に進む。

玉水先生マジごめん、と思いつつ。

それからカリオスさん達が泊まっている部屋に着いた。


そして襖を開けると。

そこに.....これまた天使の様な女性が本を読んで居た。

顔を上げて柔かに.....すげえ美人ですが.....。

俺達はかなりビックリする。


「あら?.....どちら様ですか?」


「.....紹介するね。ママ。私に彼氏が出来たの」


「.....え?そうなの?カリオス」


「.....初めまして。俺.....じゃない。自分、山吹和也と言います」


この場に俺達は場違いか、と思いながら俺はパパさんをチラッと見てから。

佐藤と共にその場を頭を下げて後にする。

また後で来てみよう。

様子を伺いに、だ。


「.....で、佐藤。どうする」


「イチャイチャしたい」


「.....あのな.....」


すると門司と山口が飛び出して来た。

ちょっと待てーい!!!!!、と、だ。

それから仁王立ちする門司。

遂にラスボスが。

違うか。


「何しているの!佐藤さん!」


「.....門司さん」


「私のかっちゃんを取らないで」


「今だけは私の彼氏だもん。門司さん」


「今だけって.....いやいや!」


ああまた面倒臭くなった。

俺は額に手を添えながら山口を見る。

山口はチラチラと俺を見て悲しげな顔をしている。

これはこれで可愛い、と思う。

すると佐藤と門司が俺に向いてくる。


「決める?」


「そうね」


「.....何をだよお前ら」


「かっちゃん確か誕生日近いよね」


「.....まあそうだな。1ヶ月後だが」


「その誕生日.....貰って良い?」


いきなり何言ってんの?

俺は困惑しながら2人を見る。

それから2人はニヤッとしてから。

ビシッと俺を見てくる。

私達の中で誰が一番.....その誕生日を祝うのにふさわしいか!、と言いながら。


「.....つまり......勝負するって事か?」


「そうだよ」


「うん」


「.....山口を加えてやれ。可哀想だ」


「あ、そうだね」


そして山口も参入してから。

3人で俺を巡ってバトル事になった。

それは良いんだが.....山口に渡す物は.....?

と思ってしまうのは俺だけ?

そう考えていると門司が、あ、と言葉を発して何かを取り出した。


「.....山口さん。これ」


「.....ビーズの.....ぬいぐるみ?」


「.....仲直りの印で作ったの。.....仲良く.....してくれる?」


門司は気恥ずかしそうにモジモジする。

パアッと明るくなる山口。

それから文字の手を握った。


ニコニコしながら.....まるで小動物が擦り寄る様に。

そして、うん!、と笑顔を見せた。

その直後。


「うわー!!!!!」


「.....佐藤。どうした」


「私.....例のブツを買い忘れた!」


「.....ああ。そうだったな。確か.....カリオスさんと和也が居たからな」


「.....どうしよう.....」


「.....いやどうしようたって.....」


すると悩み始めた佐藤は直ぐに手を叩いた。

そうだ!、と言いながら、だ。

それから山口の手を握る。

まるで幼稚園児の手を握る様な。


そして満面の笑みを浮かべる。

もし良かったら今度うちに来ない?、と言う。

え.....。


「え.....良いの?佐藤さん」


「佐藤さんじゃなくて蕾って呼んで」


「.....蕾さん?」


「蕾」


「.....じゃあ蕾。良いの?」


「もちろん!」


山口の顔は明るいんだが.....その。

良いんだがあのエロゲの魔窟に呼ぶつもりか。

俺は顔を引き攣らせて見ていると。

門司も、私も芽久って呼んで、と言っていた。

俺はその隙に佐藤に耳打ちする。


「オイオイ。あの部屋に有る大量のエロゲ.....どうすんだよ」


「隠すに決まっているじゃん」


「.....はぁ」


「だからダイジョウV!」


親指を立てる佐藤。

いや、それって本当か?

俺はジト目で佐藤を見る。

佐藤は笑みを浮かべる。

聖母の様な笑顔を山口に、だ。


俺は溜息を吐いた。

まあコイツが大丈夫って言うなら大丈夫だろうけど.....。

俺は頭に手を添えながらカリオスさんの部屋を見た。

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