第15話 俺は.....彼女を作りたい!

ゴールデンウィークに突入した。

その初日の事である。

俺達は旅行の為にバスに乗っていた。

それからバスはトンネルを抜けたりして.....走って行く。


この旅行には俺、和也、門司、佐藤、山口、同伴としての玉水先生と来た。

後ろでキャッキャッとはしゃぐ女子達を.....和也が舌なめずりで見ていた.....うわ。

何をやっているのだ和也は。

考えながら和也を殴る。


「キモいんだが.....」


「おう。殴る必要は無いだろう」


「あるって。最悪だしな」


「良いか。一馬。.....今度こそ俺は恋人を見つける」


「.....いきなり何だ」


「.....俺はお前の様にハーレムを作る!!!!!」


何だこの野郎は?

俺は愕然としながら和也を見る。

すると山口が後ろから覗き込んでくる。

そして笑顔を見せてくる。

山吹君。頑張って、と。


「.....おう。有難うな山口!.....トランプゲームやってんの?」


「そ、そう。.....一緒にやらない?.....内藤君.....」


「.....やるか。和也。お前も」


「そうだなぁ!アッハッハ」


そして俺達はトランプゲームを始めた。

その中で罰ゲームを考える事になり始める。

全員で考えた結果だ。


なんの罰ゲームかというと.....恥ずかしい話を暴露。

そして優勝は俺と付き合う。

そんな感じだが.....勝手に決めるなよ。

俺は思いながら盛大に溜息を吐く。


「.....何で俺の意見を聞かない」


「良いじゃねーか。一馬よ。殺すぞ」


「.....は?やってみろよ。お前」


「おう。やってみるならやるぜクソが。トランプ勝負、絶対に勝つ」


それから俺はトランプを持つ。

そして目の前を見つめた。

目の前の女子3人は.....全てを打ち捨てる様な感じで燃え上がる。


和也も黒い炎で燃え上がる。

玉水先生も汗をかく。

全く.....困るのだが.....。

オイオイ、と思いながら、だ。



結果。

休憩時間まで激戦になったが。

恥ずかしい話をするのは.....玉水先生になった。


そして俺とのデートは.....和也になる。

何でだよ、と思いながら女子達を見る。

みんな唖然として落ち込む。

勝てる筈だったのに.....、と、である。


「馬鹿な事をするからだ。お前ら。天罰が下ったんだろ」


「.....勝つと思った.....」


「だよね.....佐藤さん.....」


「私も.....」


まるでこの世の終わりの地響きでも見ているかの様な顔だ。

俺はその様子を見ながら和也を見る。

和也は、デート計画を阻止出来た、と、ふふーん、と満更でも無い顔をしている。

馬鹿かコイツは。


そして落ち込む奴らを引き連れて俺達はサービスエリアで探し物をする。

全くどいつもこいつもな。

俺とデートを掛けるなんて無理をするからだ。


「私.....恥ずかしい話.....私.....」


「玉水先生。取り敢えずは何でも良いですよ。後で話すの」


「でも.....真剣にやらないと.....!」


「いやいや.....適当で良いですよ」


そんなに真剣になる必要は無いと思う。

考えながら俺は苦笑いを浮かべつつ目の前の人混みを見る。

やはりゴールデンウィークだな。

人が多過ぎる気がする。

思いつつ.....見ていると。


「ん?和也は何処行った?」


思いながら周りを見渡す。

すると和也は.....金髪の美少女と話していた。

俺は、!?、と唖然と思いながら和也を見る。


和也は財布を渡していた。

どうやら財布を落としていた少女の様だが。

するとその少女は和也の手の甲にキスをした。

驚愕する和也。


「.....」


少しだけ溜息を吐きながら。

その様子を柔和に伺っていた。

そして.....和也は後頭部に手を当ててデレッとする。

柔かな顔を浮かべる少女。


やれやれ人生何が起こるか分からないな、と思った。

アメリカ風のお礼だろう。

普通は逆だがな。

その様子をジッと見ていると門司が寄って来た。


「かっちゃん。どうしたの」


「.....どうも。.....何か良いの見つかったか?」


「いっぱいあるね、って思う。食べ物」


「.....だな。確かにそれは言える。ここデカいもんな。サービスエリアにしては」


「うん。だからお菓子沢山買っちゃった」


「.....そうか」


そうしていると和也が戻って来た。

まるで猿の様な顔をしているが.....最悪だな。

俺はその和也に声を掛ける。

気持ちが悪いぞ、と。

和也は、何じゃい!、と声を上げる。


「.....全くな。.....ヘラヘラすんなあれぐらいで」


「お前は良いよな!彼女が居るし!アホめ!!!!!」


「いや居ないからな。アホかこのクソ馬鹿」


「誰が馬鹿じゃい!!!!!」


和也はプンスカ怒る。

それから俺に向いてくる。

門司は、何かあったの?、と聞いてきた。

そんな門司に和也は、聞いて驚くなよ、と声を掛ける。

そして大きく手を広げた。


「女の子にキスされた!!!!!」


「.....」


「.....そこだけ言うなよ.....」


俺は額に手を添える。

誤解されるからな。

最初の説明もしろや。

考えながら門司を見るが。


やはり苦笑していた。

と言うかドン引きしている。

まるで蛇でも見た様な感じで。

やれやれ.....和也のアホめ、と思いつつ手を広げて腰に手を当てた和也に向く。


「良かったじゃないか。和也」


「.....そうだな。まあもう巡り会う事も無いだろうけど」


「.....そう言うな。案外巡り会うもんだぞ?世界って思った以上に狭いしな」


「いやいやお前の感覚で言うなよ」


「いや。割とガチだからな」


それは本当だからな。

だってこうして佐藤と門司と.....、と思ったが。

その事は.....まあ敢えて言わない事にした。

俺も何か見るか、と代わりに言う。

そして門司と和也を見る。


「行くか」


「まあ確かにな。時間無いし」


「うん」


それから俺達はイートインスペースとか。

食べ物屋とかそう言う場所を見て回る。

何だか晴れ晴れとしている感じだ。


まあこれが、新鮮、ってヤツなのかな、と思えるぐらいに。

取り敢えず俺も何か買うか。

飲み物とか、だ。


いつか.....和也に話そう。

門司との佐藤との。

その想いを、だ。

考えながら俺はその事を胸に秘めてから周りを見渡した。

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