仲直りの為に

第14話 親睦会の為の旅行

また山口が学校に来た。

そんな山口は笑顔で俺達に接している。

取り敢えずは心配が無さそうだが、と思いながらその様子を伺っていると。

門司が立ち上がった。

それから.....山口に近付く。


「も、門司さん?.....どうしたの」


「御免なさい。酷い事をしたわ。.....謝る」


それから深々と頭を下げる門司。

俺はビックリしながらその様子を見ていた。

門司が.....あんな真似をするとは。

以前の門司なら考えられなかったな.....。

成長したんだと思う。


「門司さん」


「.....佐藤さん?」


「.....貴方に平手打ちした事。.....謝る。御免なさい」


「.....大丈夫。.....そのお陰で目が覚めたから」


そして佐藤と握手をした門司。

和也が、良かった、と呟きながらホッとする。

そこそこの原因はお前だけどな。

まあ.....根本の原因は違うけど。

思いつつ俺は窓から外を見ていると。


「ねえ。それでさ」


「.....何?佐藤さん」


「ゴールデンウィークに旅行をしようと思うの。私と門司さんと山口さんと仲良く」


「親睦会的な感じ.....ですか?」


「そうそう。.....で。山吹くんとかーくんも誘おうと思って」


「.....」


え!?俺も誘ってくれるのか!?、と笑顔を浮かべる和也。

コイツ.....、と思いながら俺は苦笑いで和也を見る。

しかし親睦会か、と思いながら俺は顎に手を添える。

佐藤と門司と山口が俺達を見る。


「.....どうかな」


「いや。良いけど俺達だけで旅行は無理だろ。.....大人を同伴させないと」


「それはもうアテがあるから。.....この学校の先生で」


「.....?」


俺は?を浮かべながら佐藤を見る。

佐藤はニコッとして職員室に向かった様だが出て行った。

先生にそんな良い奴居たっけ?、と思いながら和也を見る。

和也も手を広げて?を浮かべている。



「新任教師の玉水七緒先生です」


「よ、宜しく.....お願いします.....」


教室にやって来たのは.....って言うか教室の近くに先生呼ぶなよ。

職員室からわざわざ来てくれるとは。

忙しいだろ先生も、と思いながらもその玉水先生を見る。

玉水先生は身長が140センチぐらいしか無く。


まるで子供だが顔立ちは整っていて。

少しだけ太眉の先生だった。

美しいと言うよりかは可愛い感じだが。

こんな先生と知り合いなのか?

何故?、と思っていると。


「実は玉水先生は私のエロとも.....」


その口を玉水先生が塞いだ。

真っ赤の本当に赤い状態で目を回しながら、だ。

な。何でも無いですよ!!!!!、と慌てて、であるが。

え?、と門司と山口と和也が顔を見合わせる。


まさか、と俺だけが思った。

いやまさかだけどエロゲやるのかこの先生.....。

そんなにエロゲ蔓延しているのかこの世界には.....。

まるでバイオエロハザードだな。


「も、もう。佐藤さん。この場所で言わない」


「.....ですね。口が滑ってしまいました」


「も、もう」


子供らしく口を尖らせる玉水先生。

俺はその様子を見ながら佐藤に向く。

で?この先生を連れて行くのか?、と、だ。

佐藤は強く頷いた。

そして涼◯ハルヒの様にニコッとする。


「連れて行くよ」


「.....そうか。でも玉水先生の都合は.....」


「私は大丈夫です。子供達だけでは心配ですから。私が付いて行きます」


「でも玉水先生って子供に間違われそうな.....」


「.....」


「.....」


お前は最低だな和也。

相変わらずだけど。

多分傷を抉ったぞきっと。

玉水先生は、しおしお、と沈んだ。

そしていじける。


「.....私は子供じゃ無いもん.....」


子供の様に拗ねて床をなぞる玉水先生。

これは.....困ったな.....。

俺は和也を睨む。


和也は汗をかいていた。

コイツは何で何時も何時も余計な事を、と思う。

ジト目の全員に睨まれた和也はしどろもどろ状態だった。


そして慌てる。

まるで電車の時間に追われたサラリーマンの様に。

俺は額に手を添える。


「.....オイ和也。お前何とかしろ」


「すまん.....うん.....」


「山吹君最低.....」


「す、すまん。た、玉水先生!大丈夫!子供っぽく無いです!」


するとパアッと顔を明るくして玉水先生は立ち上がった。

それから、ですよね!、と満面の笑顔を浮かべる。

俺達はホッと一安心しながら.....苦笑いで見る。

単純だ.....、と思ってしまったが。


「それで玉水先生は大丈夫なんですか」


「大丈夫です。私.....楽しみです!」


「.....そうですか.....」


「でも旅費は誰が出すんだ?」


「私がポケットマネーで旅費出すよ?」


本気か佐藤は。

俺達は顔を見合わせてから唖然とする。

ポケットマネーってそんなに金有るのか、と思いながら。

佐藤は?を浮かべている。

女子高生がそんな金を.....って.....。


「わ、私は出しますけどね」


「先生。必要無いですよ」


「あります!まさか大人が奢ってもらう訳にはいかないです!」


「でも先生。お金あるんですか?」


「.....う.....は、はい.....うん.....半分ぐらい.....は」


痛い所を突かれた、的な感じだな。

はう!、と言いながらしおしおとまたしなる。

玉水先生は涙目で目を潤ませた。


それから人差し指で人差し指にツンツンする。

まさかと思うが.....うん。

これはお金が.....無いんだな、と思う。


エロゲに注ぎ込んだのか.....?

俺は顔を歪めながら見つめる。

これはこれで.....何というか.....うん。


「え?ちょっと待って下さい。玉水先生。何故そんなにお金が無いのですか?」


「.....門司。聞くな」


「.....え?」


「.....良いから。聞いてやるな」


俺は言いながら溜息混じりで門司の肩を叩く。

門司は理解出来ない様な顔をしながら首を傾げる。

その様子を見ながら俺は玉水先生とみんなを見つめる。

取り敢えず旅行は確定なのだろう。

面倒臭いが.....。


「それにしても玉水先生が付いて来てくれるなら安心ですよね」


「.....確かにな。山口」


山口は紅潮しながら俺を柔かに見てくる。

そうしていると。

ピーンと玉水先生が反応した。


それから笑みを浮かべる。

どうしたのだ、と思いながら見ていると。

玉水先生は山口の背中を叩く。


「.....頑張って。応援するよ。山口さん」


「.....え?.....え!!!!?」


「.....」


「.....何故山口さんだけ.....」


玉水先生はどうやら門司と佐藤の想いには気付いてない様だ。

そこらへんは鈍感なのか?、と思いながら玉水先生を見る。

物凄いオーラが上っているが.....。

和也も.....黒いオーラを俺に向けて出す。

何やってんだ.....和也まで.....。

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