陽キャな友人
大学に向かう途中、いつものコンビニで水と明太子おにぎりを買うのが僕の習慣。
今日はいつもの男性店員さんじゃない。僕よりも年下に見えるが、女子高校生か?
「えっと……。あっ、246円になります」
明らかに新人らしい接客対応だ。
「あっありがとうございます。」
こっちまでつられるな……。
――おしぼり、、もらってない。――
なんだか損した気分で大学の入口門までダルそうに歩いていく。
入口に着いた。
門の前に正吾がスマホを見ながら立っている。
あの感じはYouTube見てるな。
僕に気づいた正吾は、動画途中にスワイプしてスマホの画面をオフにした。
やっぱりYouTube見てたんだ。
多分、あのYouTuber見てたんだろう。
「おいおい、お前体調悪いのか?」
こんなことを聞くようなやつじゃないのに珍しい。
「えっ? そんなことないよ? 体調悪く見える?」
「いやなんか疲れてそうじゃね?」
正吾は陽キャな性格だけど意外と観察力があって、ドンピシャに当ててくる時がある。
でも今日はおばさんといい、正吾にもそんなこと言われるなんて。。。
――なんか、自分がおかしいのか……。――
「とりあえず、研修室行くぞ」
僕に低めのトーンでなんだか俺に隠し事でもあるのかという目で、先を歩いて行った。
――本当に何もないんだけどな。――
正吾は大学に入学してからの友達だ。
2人とも一人暮らしで、バイト先も同じでプライベートでもお互いの家に泊まる仲だ。
いろんなやつからも信用されているし、僕も一番信用している。
たまに「いいな、正吾は。」って嫉妬する時だってある。
「なぁ、翔」
「ん? 何?」
「経済ビジネス学科のレポート提出っていつまでだっけ?」
「17日までだよ」
――今日は15日――
「うっわ。マジか……。」
次に正吾が何を聞いてくるか予測がつく。
「翔、手伝ってくんね?(笑)」
いつものお決まりセリフだ。
「うん。いいよ」
「さすが翔だわ! 頼むわ!」
――断れるはずなのに。なんで断れないんだろうか。――
――僕にはない、正吾にしかできないことなんだろうな。。。――
キーンコーンカーンコーン♪
授業終わりのチャイムが校内中に響き渡った。
だいたいこのチャイムが鳴ると、周りがざわざわし始める。
――ざわざわ……。ざわざわ……。――
「翔、この後って確か。」
「うん、今日はパソコン買いに行ってくる」
「そっか。今日バイト入ってないよな?」
「入ってないよ。」
「いいパソコン買えるといいな! とりあえず、駅まで一緒に行こうぜ」
「おう。」
今日は涼しいのか、暑いのかよく分からない気候だ。
こういう日でいいことが起きたことがない。
朝からおばさんと正吾からあんなこと言われるし……。
今日はついてないかもしれないけど、久々の大きな買い物するしいい日であてくれ。
――ごちゃごちゃ話しながら歩いていたら、駅に着いた。――
「んじゃ、俺このままバイト行くからまたな。」
「うん。 明日ね。」
「例の件、頼むぞ!!」
――提出物のことだ――
「おう。任せとけ。」
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