聖人
彼の通り名は『聖人』だった。
誰にでも優しく、助けを求められれば誰でも助けたし、それだけの能力もあった。当然殆どの人に好かれていたし、彼に恋をした女子も多かった。
そしてもちろん一部の問題のある人間にも好かれていた。あるメンタルに問題のある女の子が彼に言ったそうだ。
『貴方が誰かのものになるなんて耐えられない。私だけのものになって』
すると彼は笑って答えたらしい。
『君のものにはなってあげられないけど、誰のものにもならなければ良いんだね』
そして彼はその場からーー告白の為に呼び出されていた屋上から飛び降りた。
顔見知り程度の女子が『耐えられない』だけで彼は一生自分が誰のものにもならないようにしたのだ。
その命を投げ捨てて。彼はいったい何がしたくて、何を守りたくて、他人を優先していたのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます