裏切り

車に見慣れない金の指輪が落ちていた。そして事後独特の匂いが車に残っていて吐き気がする。


彼に車を貸しはしたが、正真正銘私の物である。彼は車のローンも車検代もガソリン代すら払ってはいない。一緒に住んでいる部屋の家賃だって、水光熱費だって折半だ。なのにこの仕打ちである。隠す気がまるで無い。


いくら私から告白したとはいえ、惚れた弱みで許すにも限度がある。


相手も隠す気は無いようだし、彼も車がこんな状態という事は隠す気は無いんだろう。


顔は良かったし、私への面と向かった態度だけなら優しくて良かったんだが、コレは無い。


幸いな事は婚姻届を出す前だった事か。ショックはそこまで無いがただひたすらに腹が立つ。


スケジュール帳を見て次に会いそうな日を探す。


私の愛車を穢したからにはそれ相応の地獄を見てもらわないと気が済まない。計画を立て、協力してくれそうな友人に連絡を取る。


当日が楽しみだ。

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