「警部!遅いんじゃないんですか。今日、握手会のチケットをくれるっていったのに全然こないから心配したんですよ。ウソをついたのじゃないかって」


長野卓夫が大原警部の前に駆け寄った。


「私が失言するわけないんじゃないかね」


「それはどうでしょうか。僕から情報をもらうために嘘をついたのかもしれないんじゃないですか?」


「私がそんなことをするとでもおもったのかね?」


「そ、それは」


「とりあえず、約束通りにチケットをもってきたよ」


こう言いながら大原警部はポケットからチケットを取り出し、長野卓夫に渡した!


「わあ!!これ本物ですよね?!」


「そりゃ、本物だよ。偽物をもってきてどうする」


「それもそうですね」


長野卓夫は握手会のチケットを大事に財布に入れた。


「これで来週の握手会にいけるんだ!やった!」


こう叫んでから大原警部もいることに気づき、気まずそうに苦笑いをした。


「喜ぶ気持ちはわかりますよ」


「警部はいかないんですか?二枚あるっていったんじゃないんですか?」


「私は行けませんね。残念なことに」


「なんでですか?一緒に行ける仲間ができて喜んだのに」


「それはどうもすみませんでしたね」


「なら、そのチケットは?」


「ほかの人に送りました」


「そうなんですか」


大原警部は長野卓夫の部屋を見回した。


「長野君は何をしているの?」


「いきなりなんですか?この間も言ったように無職です」


「本当にそうかね?」


「ど、どういう意味ですか?」


「無職にしては部屋にあるものは全部高価なものでびっくりしたからだよ」


「そ、それは……」


「親からは仕送りをもらってないと知っているんだけどね」


「それが何か」


長野卓夫は確実にうろたえていた。


「まぁ、この事件とは関係がないからこれ以上深い入りはしませんが、やばいことにだけは手を付けないことね。おせっかいなおじさんからの忠告っていうことで」


「あ、ありがとうございます」


こう言って大原警部は長野卓夫の部屋を出た。


実は、大原警部は調査によって長野卓夫が何をしているかをちゃんと知っていた。ただ、はっきり言わなかっただけだ。


長野卓夫は自分が言ったとおりいろんなアイドルの卵を見てけては尾行しいろんな写真を撮っていた。それはゆくゆくはネタに使って金を揺すったりしていた。アイドルは秘密を隠すために長野卓夫に金銭を送る。


でも、長野卓夫も金銭をいっぱい要求はしていない。だから、たくさんの卵を見つけてはいろんなことを記録する。


もちろん、彼女たちをただの金蔓と思ってはいない。ちゃんと応援もする。こんなひねくれた価値観が今の長野卓夫を作った。


藍星は長野卓夫も工夫したが、弱みになれる情報は手に入れなかった。なので、長谷川健也が藍星と同じ会社に入るとしった際、彼のパソコンをハッキングしようと決意したのだ。長谷川健也が引っ越しする前日のよる、侵入してパソコンに何か仕掛けをしようとしたちょうどその時、長谷川健也が入ってきた。


もちろん、長谷川健也と口論になった。長野卓夫は一応、不法侵入になっていたので。長野卓夫はとっさにサインを頼みたくって入ってきたと嘘をついた。でも、そんなこと、長谷川健也が聞き入れるはずがない。


長野卓夫は仕掛けもできずそのまま帰った。


大原警部は二階から降りて一回の管理人室に向かった。

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