3
温かい太陽の光が射し込んできた。
いい日旅たちというけど、竜にとってはいい日お休みだ。竜にとっては毎日が休みの日なんだけど。
「竜、起きて」
竜は枕元においてある携帯画面から時間を確認した。
「まだ9時だよ。もっと寝させてちょうだい」
「今日、結果が出てくるかもしれないでしょう。デモ曲がとてもいいんだから。」
結果という言葉に竜はつと起き上がった。パソコンに電源を入れて、顔洗いに部屋を出た。
部屋に戻った竜はわくわくしていた。
パソコンの立ち上がるスピードは遅いので、竜は早く、早くとつぶやいた。
立ち上がるのに5分はかかった。マウスを動かして、メールを開いた。新着メールはなかった。
がっかりしている竜に僕は慰めの言葉を言った。
「大丈夫だよ。今日、来なかったら明日ならきっとくるよ!元気出して」
「そうだよね。毎日、全国各地からたくさんの応募が寄せていくんだから。昨日はまだ私の資料に目を通していなかったのよ。うん、きっとそうだよ」
「だから、今からギターの練習をしない?」
僕が言い切らないうちに、竜はベッドに転がり込んだ。
「勘弁して。今日はいつもより早く起きたから、頭がふらふらしているし、めまいもするし、もうちょっと休ませて」
こんな状態の竜になにを言っても無駄だってことははっきり分っているので、僕は黙っていた。
竜のいびきが聞こえてきた。次に起きた時はもうお昼になってしまう。こんな無秩序の生活から早く竜を助けたい。
デモ曲が審査員たちの好みであることを祈りながら、この曲についての事がばれないことを願った。
警察は事務所まで何か事情聴取をするんだろうか?
ここまで考えたら一つ心配事が出てきた。デモ曲のこと。
もし、あのデモ曲を長谷川が事務所の人に聞かせたのだったらどうしよ。盗作ってことになるけど。でも、確かにあのファイルの名は未公開曲っだった。事務所の人が聞かなかったことを願うことしかない。
長谷川が今、死んだのだから、クラスに空きの席が出てきたので、今度こそ竜の番になれるんだろう。
僕はこう強く願った。僕だけでもギターの練習をしようか。竜を起こさないように、注意しないと。
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