「あほ。全然違うじゃん、さっき言ってることと。おまえもとんちんかんな野郎だな」

「すぐそういうムードになっちゃうから。ムードっていうかモード？」

横で子供が話しかける。

「なんか言ってるぞ、お子が」

「なんか言ってる。お子もやることないから食べてばっかりいる」

「ま、そうだよな。おまえも食べてばっかりいるの？」

「そう」

「でぶっちょだな」

「だよねー。どうすんのこれ。コロナ太りだよ」

「コロナに返してもらうか。私の肉を持って行けーって」

「そうだよ」

「鍵がねぇぞ、まずいな」

「誰かいないの？」

「いると思うんだけど。鍵がない。開いてるかな。あれ開いてねぇ。誰もいねーんか。いや、車は置いてあるんだけど。待って反対側回る、あ、いるわ。あ、すいません。やれやれ、あーほんとに」

「『あーすいません』w誰に会ったの？」

「うちのほら、S川さんっておじさん」

「あーいつもいるね」

「いつもいるね、遅い時間まで」

「出張はないの？」

「あー、そうだね、出張は行かないようにしてる。まずいでしょ、だって、なんとなく。出たね雇用助成金」

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