第15話 会いたいけど我慢

「うーん」


「でさ、H(某大手工場)の建物行き来するバスがあるの。シャトルバスなんだけどさ。それとかも一回止めたのね。結局未だに何台も動いてるんだよ、ぐるぐる」


「そうなの?」


「うん、ダメじゃんねー。それ一応3密になるから止めたのね、一回はね」


「うんうん」


「でも結局動かしてるもん。おにいちゃんなんかさ、Mちゃん(彼の会社のベテラン事務員さん)と会わないようにしてるじゃん」


「オレ、バイ菌扱いだもん」


「バイ菌扱い?ふふふ。でもそれくらいやってる人もいるのにさ、ねえ?」


「ねぇ、しのさんと会いたいのに我慢してるのに」


「そうだよ、もぉーーー!!言わないで」


「大丈夫だろ、しのは」


「え?」


「しのは大丈夫だ」


「なんで?なにが?」


「よくわかんないけど大丈夫だろ?」


「私?だから思って考えて、おにいちゃん言ってたじゃないコロナの時だから、それなのに会いたい、会いたいするのってちょっと違うかなーと思って。大人ですから」


「ああ、そうですか」


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