大学に通えるとはなぁ

 高校三年間を無難に乗り越えた私だが、その後大学へと進学することになる。

 受験勉強は大変だった。

 前にも話したように決して頭はよくなく、むしろ落ちこぼれの部類だったので、夜中までひたすら勉強に打ち込んだ。

 読書は好きでも、参考書は読んでいると眠くなってしまうからさぁ大変。


 結果的に現役で合格出来たわけだが、ランク的にはそこそこの、従兄弟が通っていたようなランクとはほど遠く、かといってバカにはされない程度のランクの大学に合格した私は、一人暮らしも同時に始めることになる。


 ちなみに、一人暮らしにかかる費用は全て父親が出したのだ。

 そのうち金が貯まったら引っ越そうと計画していただけに、晴天の霹靂だった。

 離婚を告げられたときに次ぐ衝撃。


 何らかの心境の変化でもあったのだろうか、実際のところは何もわからないし、きっと自分から尋ねることも一生ないだろうが、まぁどうでもいいことなのだが。

 これまでの所業を考えたら、とてもじゃないが許せないし、相殺出来ないのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。


 その頃の父親はまだ腕力があったものの、それでも寄る年波には抗えず、反対に私は着実に力をつけていたもんだから家庭内のパワーバランスも多少は変わりつつあった時期でもあったわけで、一時期はそれを嫌がった父親と衝突を繰り返していた。

 基本私から先制攻撃を与えることはないので、争いはいつも父親が火種となる。

 その時は、決して容赦はしないと決めていた。


 自らの権力を保とうとする父親に手を出されれば、反抗するしかないじゃないか。

 ただでは済まさい。ガチの喧嘩だ。

 次男に関しては一切ノータッチ。

 本当に血を分けた兄弟かと思うほど何の情もわかなかったので、家の中でも一切口を利かないでいた。

 相変わらず家事もしないし、悪びれない。

 その図太さに呆れを通り越して何も期待していなかった。



 まぁそんなことを学校生活の裏で送っていたわけで、それでもニコニコ仮面をかぶっていた私は相当な役者だと思う。

 晴れて大学に入学し、念願の自由を手に入れた私は、四年間を勉学と遊びに全力を尽くすようになるのだが、それまた次のお話で――





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