人生で初の凪?

 さて、大学生の頃の話だが、まードラマチックな話は残念ながら少いと言わざるを得ない。

 ここまで読んでこられた読者の方からすると、「なんだ、つまらない。落ち着いちゃったのかよ」という刺激を求めるタイプと、「良かったね。やっと平穏に暮らせるようになったんだ」という聖母マリアタイプにわかれるだろうが 、どちらのタイプの読者も最後まで読んでいただけると幸いだ。

 物語は駆け足で進んでいく。

 そして年を経るごとにスピードは加速していく。


 さて、学業をそつなくこなしていた私は、あいにくサークル活動に興味を示すことはなかった。

 たったの一度も。

 一度もサークルに加入することもなかったし、ましては部活動にも興味はなかった。

 それまで続けていたサッカーはここで終了となるが、未練はなかった。

 もう昔ほど情熱を持てなかったから。


 サークルも部活も、バイトの時間を削られるのが単純にデメリットと感じていたし、その時期は付き合ってもメリットを感じないグループに属するのを酷く嫌っていた。

 学力では上であろう周囲の人間が、圧倒的に子供に見えていたのも原因かもしれない。

 俺はコイツらと違う――そう見下していた。恥ずかしい限りだが。


 結局卒業までの四年間は、いつも私を含め、気が合う三~四人のグループで世界は完結していたんだと思う。

 もちろんグループ外の他人と接しなくてはならない機会はあったし、話しかけられればニコニコ対応していた。

 人に好かれるような選択肢をいつも的確に選んび、好感度を上げておくことによって、ゼミでも保険として役に立ったもんだ。


 人当たりがいいキャラを演じながら、己のイメージを他人に植え付けることを決して忘れず、留年もすることなく、そしてとうとう就職活動が始まる――





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