デジタルモンスター
小学生の頃、ポケモンについで男子の間で流行ったものがある。
昨年二十周年を記念して劇場版も放映された「デジモンアドベンチャー」だ。
毎週日曜日はテレビの前で、八神太一&アグモンら、選ばれし子どもたちとパートナーデジモンたちの成長と絆をテーマとしたストーリーに、胸を熱くさせた子供は多かったことだろう。
そしてデジモンといえば忘れてはならないのが、キーホールダー型の携帯ゲーム。初代「デジタルモンスター」だ。
当時はポケモンと同様品切れが多発し、なかには「デジモン」ならぬ「パチモン」を掴まされた子供いたりいなかったり。
あのゲームの面白いところは、飼育がリアルタイムで行われるというところだ。
小さな画面に浮かび上がるドット画のモンスターを、卵から完全体まで育て上げるのがことのほか庇護欲をそそられるもので、これが遊ぶ人間の性格を面白いほど反映させる。
世話を放棄すればあっという間にお亡くなりになってしまうということもあり、そういう飽きっぽい同級生のデジモンは大抵ヌメモンに進化していたものだ。
あまりの人気に学校側も対処せざるを得なくなり、当たり前だが学校への持ち込みは固く禁じられることとなる。
実は私もデジモンで遊んでた少年の一人で、父親が気まぐれに買ってきたおかげでブームという波に乗ることができたのだが、皆校則など守ることなく先生の目を盗んで机の下でピコピコ遊んでいた。
そして私も隠れてピコピコ。
だが、ある日事件は起きた。
先生が真剣に授業を進めるなか、黒板に叩きつけられるチョークの音だけが響く教室に、あの音が響き渡った。
「ピィィィィーーーーー」
私のデジモンが死んだ。
死因:怪我(授業前にクラスメイトの完全体に馬鹿な私は成熟期で挑んでいた)
クラス中の視線が私に集中し、先生も鋭い視線で私を見据える。
いたたまれない空気のなか、私は観念してそっと机上にデジモンを置く。
その後先生に取り上げられた私は、こっぴどく叱られたのち、迎えに来た母親にこっぴどく叱られるわ夜には父親に殴られるわでさんざんだった。
出来ることなら卵からやり直したい――そう願う夜だった。
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