第11話ダンジョンでお金稼ぎ!

生きるためには金が必要だ。

この国で生きるために、最低限のお金が


最低限というのは、美味しいごはんが三食食べれて、綺麗な服を着て、髪の毛だって美容室できれいにきってスタイリングしてもらいたいし、おうちのお布団もふわふわで気持ちいいのがいい。もちろん防ダニ加工してあるやつ、それに、美味しいごはんが食べたいのだ


「ハルちゃん今美味しいごはんが二回あったと思う」


「え?そうだっけ?まぁまぁ細かいことはイイってことよ!」



さて、今日は昨日の作戦会議で決まったお金稼ぎだ


未だ国とか国とかが秘密に隠しているダンジョンとか、まだ見つかっていないダンジョンとかを攻略していきたいと思う。


そもそもの未来ですべてのダンジョンを攻略したのは私とシロンちゃんだったりする

まぁ国管理下にあったやつは半分以上攻略されていたりしたんだけどね


そもそもダンジョンからもたらされる利益はけっこう美味しい


宝石に昔の金貨とか、魔法的に貴重な防具だとかそういったものが見つかるし、それぞれのダンジョン内には決まったモンスターが生息しており、討伐後に即剥ぎ取りをやれば素材として持ち帰れる


一度ほっておいたことがあるんだけど、スライムみたいなのが壁の隙間から這い出てきて全部喰らってしまうのを見た

生きている物は襲わないそのスライムはスカベンジャーと呼ばれていた


そんでもって、ダンジョンが周知された理由の一つが溢れ出るモンスターだ

どうやらダンジョンで生まれたモンスターがダンジョンの外に出てきてしまう事象があるのだが


スタンピート、ダンジョン崩壊、まぁとにかくすげぇ量のモンスターが出てきちゃうわけだ

しかもそれが起こったのが人族領のダンジョンから広がって、どんどんとその波は世界中のダンジョンへと伝播したことが、すべての人がダンジョンを知るきっかけになった


んでなんでそんなことが起きたか?


それは戦争が原因だった


人族のダンジョンに冒険者が行かなくなったせいだ

そのため、長く続いた戦争でダンジョンが崩壊したのである


そんなことになるなど知らず、人族も亜人の国もすべての国がそのダンジョンから得られる利益に目がくらみ、見つけたダンジョンを独占していたことが上げられる



なぜならダンジョンは見つかった時から稼働が始まって、そのまま成長を続けるのだから


1つのダンジョンで満足しておけるはずもない、攻略も出来ていないのに次々と隠されて休眠していたダンジョンを開放、そして攻略できないままに保持


そこに戦争での人手不足


はいどーーーん!ですよ


じゃぁどうするか?見つけたダンジョンはさっさと攻略して管理下に置きましょうねっていう事、そんだけである


だがしかし!今はどの国もそこまでの知識はない

そんでもって、色々と隠してるまっさい中なのであるよ!



「ふうん、そんでハルちゃんはそのダンジョンに行ってお金儲けしようって事ね」


「そそ、そゆことー。一発で成金ですわあ!ははーん!」



そこで待ったをかけるのは監察官をしているこのお人だ


「ちょ、ちょっと待ちなさい貴女たち!」


「なあに?ミィナさん」


「あ、あなたがどこでそんな噂を聞いたのか知らないけど、この国にはダンジョンなんでないのよ!」



「あーわかるわかる。ミィナなんの立場だと知っててもそう言わざるを得ないもんねえ」


ミィナは昨日のハルとシロンの会話を聞いて、なんかヤバい事を話してると思い今日朝から後を付けてきているのだ


ちなみに彼女の名誉のために言っておくが、ミィナもダンジョンがあると言うことは知らされていなかったりする


「ホントに知らないのよ……ホントなの……」


そう言いながらトボトホと、ハルとシロンの後をついて行くのであった

もしかしたらハルちゃんがまた何かしでかすのでは無いか不安になっている


そう、なぜならばミィナはとても面倒見が良い女なのだから


「うるさいわね!面倒見がいいんじゃなくて問題おきたら全部私が処理しないといけなくなるのよ!」


だそうである。




そんなこんなで3人がやって来たのは街からおよそ半日ほど、徒歩と馬車を乗り継いで最終的に完全に徒歩でしか来れないグモナ砂漠


ここには昔、グモナシ大国と言う国の首都があったとされる場所である

今も砂漠のあちこちにはその遺跡と見られるものが残っている


幾つもの石柱が立ち並ぶ場所にそのダンジョンの入口はあった


ぼっ


ハルが尻尾を一本増やす


「さて、いくよー。暴風(トルネード)ぉ!」


魔法を使うと砂で埋まっている遺跡をどんどん掘り返していく

綺麗に砂が取り除かれた遺跡、そこには地下へと続く巨大な扉が鎮座していた


「でっか…」


「ふふふ、シロンちゃんダンジョンは全部じゃないけど、結構な大きさなのさ!なんていうか、巨人が作ったと思う程度にはでかいよ」


「うっそぉ…」


ミィナさんは涙目である。がんばれミィナ!


その扉をずずずずずと力任せに開けていくハル


「すごいハルちゃん、いつの間にそんな力持ちに…」


「あ、これ魔力込めたら軽くなるんだよ」


実はそのことが知られていなくて未だ開封されていないダンジョンも数多く存在している


「へぇーハルちゃん物知りだねぇ」


「えへへ!でも込める魔力がちょっと大きめなんで、普通は何人かでやるよ!」


だからそれを一人でやるのが異常なのだとミィナは思う


「さぁ中に入ろう!ここにゃーたしか金目の物がけっこーあるんだ!」


「私ハルちゃんに一生ついてくわ!」


シロンちゃんもだんだん楽しくなってきた模様

というか完全に金目当ての発言である


すっかり三人組になったハルちゃん一行はグモナ遺跡ダンジョンへと足を踏み入れる

ひんやりとした石壁に囲まれており、天井高は四階建てくらいの家が建ちそうなほど高い


そして最初の扉と同じくらいの扉が現れる

ハルちゃんは同じように扉に手をかけると、ズズズと再び扉を開ける



「凄いなあ…魔力込めると軽くなるなんて」


「んや、これは筋力」


「そう…」



空いた扉の向こうにはただ広い空間が広がっている

そこに足を踏み入れると、ぴちゃりと音がした


水が溜まっているのだ



そこにゆっくりと近づいてくる小鬼が一匹


ゴブリンである


「ふっ!」


シロンちゃんがいつの間にか抜刀し、両断する


「あれ?なんか弱くない?」


「ピギ」


ズズ、とゴブリンは両断される


「さっきダンジョンが稼働し始めたばかりだからね、まだモンスターも育ってないんだよ」


「そうなんだ」


「だから時間がたてばもう少し強くなるよ。手ごたえがある程度にはね」


シロンちゃんは狩りの時もそうだけど、明らかに戦闘民族なんだよね

まぁ私がめちゃくちゃ修行してたせいもあるかもしれないけど、友でありライバルっていう感じだったし


三人はどんどんと奥へ歩いていく


ミィナもやはり実力者だけあり、それなりに魔物を排除していく


だから、私はすることがない…暇である

といっても、ここのダンジョンは前世?でけっこう潜っていたので隅々まで知っているから道案内としては優秀だと思うんだよね


一階で出るモンスターはゴブリンとウルフ

まだ群れて出てこないけど、二階ではジャイアント蝙蝠が追加されて、あと種族毎で群れてくるようになる

だから一階でなるべく戦いに慣れておくのがいい

丁度一階には宝箱もないのだ


ただ、モンスターのドロップ品はけっこうおいしい

ゴブリンだと、小さな金とか銀の塊を持っていたりする。集めたらけっこういいお金

ウルフは毛皮と牙かなー


とりあえず死体は放置するとスライムのごはんになっちゃうので、私はゴブリンは腰に付けてる小袋をあさり、ウルフは牙だけ折っていく

毛皮は数体分を異空収納に放り込んでからあとは放置にする


未来だとこれだけで食っていけたので、私の稼ぎとしては十分なのではないだろうかと思案するが、ここにはシロンちゃんとミィナさんもいるのであとで山分けとかになったら取り分が減るしそれだと一人分で足りなくなるのでせっせと集めながら進んでいく


「あれ?なんかあるよ、階段かな?」


シロンちゃんが下りの階段を見つけた


「お。そうそう、ここから降りて二階層だね下は結構広いしまだモンスターもでるから少しだけ休憩していこう」


「はぁ…まだ行くの?」


ミィナさんは疲れている様だ

まぁほとんど初めてダンジョンに潜って疲れていないシロンちゃんがおかしいのだけどね


「まぁこれだけだと稼ぎになりませんもん。それにここ、私らが初めて入場してるので、下層の宝箱とか良いものあると思うんですよねー」


私がそういうとミィナさんも少しは元気が出たようだった




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非常によくある転生譚 ちょせ @chose

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