面倒な時間の襲来

 オスカー様と一緒にいる時間は思っていた以上に楽しかった。声がでなくとも、雰囲気で感じ取ってくれるのも、その理由の一つだろう。

 どうして私がしたいことがわかるのかは分からないが、それを当たり前のようにしてくれる彼の行動がとても嬉しい。


 そして、学園に入学する年になった。周りからは変な目でよく見られるようになったが、気になりもしない。何か害があったのなら、証明してみればいい。私たちは図書館で過去の文献や歴史、他国のことを調べて、第二王子が言うことは出鱈目だということはわかっている。


 私たちが堂々としていることから、周りの人たちの態度も卒業までには結構変わってきた。それに、この学園にいる3年間、私たちに関わって来た人たちにも何か不運な出来事は何も起こらなかった。当たり前だけどね。


「あの悪魔付きとか呪い持ちとかの噂ってなんだったんだろうな」

「確か第二王子殿下が言っていたのは聞いたことがあるわ。ということは、言いふらしているのは第二王子殿下?」


 段々と、第二王子が言い出したということが逆に広まっていった。なぜだろうね。因果応報とはこういうことかな。


 まあ、こういう状況を面白く思ってない人物はいるよね。でも、直接手を出してくるとは思わなかったな。

 今まで、陰湿に行動して来たくせに、我慢ならなくなったのだろうか?


 今、私たちがいるのは、学園の学生用の食堂です。食堂とはいえ、貴族が通う食堂であるため、部屋の規模は大きく、豪華で、テーブルは十名程度が座れるほどの大きさのものが、この食堂にいくつか配置され、ゆったりとした空間になっています。

 本来ならここで、友人達が仲良く話をしたりするのが当然の光景だったのだが…


「皆も聞け!こいつらがして来た悪事の数々を!」


 これである。私たちに指を指し、第二王子殿下が大声をあげているのですが、非常に迷惑です。顔を見るだけでご飯がまずくなるのですから、どっかに行って欲しかったのに。それに悪事とはどんなことかは知りませんが、ここで言う必要はあるのでしょうか?


 私のそんな疑問には関係なく、次々と喋り出します。要約すると、


 一つ目は、元オスカー様の婚約者様であり、現第二王子の婚約者様を無視したこと。

 二つ目は、彼女の無実無根の悪評を流したこと。

 三つ目は、彼女に対する直接的な侮辱をして来たこと。

 四つ目は、悪魔の子であるのにも関わらず、学園に入学して来たこと。

 五つ目は、呪い持ちであるくせに、学園に入学して来たこと。


 これら五つのことが私たち二人の悪事らしい。馬鹿らしくなってきますね。周りの方々も、あいつ大丈夫かというような顔をしています。たぶん大丈夫じゃないですね。


「はあ、では詳細を一つずつ聞いていきましょうか」


オスカー様が代表して、殿下に聞きます。

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