チームメンバーを決めよう

「…むしろマスターの方が凄いのですよ?この世界で最高性能の機械と同じ速度で情報処理をするなんて…常人ではありませんよね?」


おいこら人外扱いするな。


「いや…だって零式の枠を埋めるんならさ、エッジかドクロくらいかなぁって…」


「ロキはお使いにならないんですもんね?」


ロキ。名前の通り北欧神話の姦計と欺瞞を司る神をもとにしている。☆☆☆☆土属性戦士モンスター。ステータス、252-63-68。いつわりの反射壁という固有技が、バリア系の中でかなり突出した壊れ技になっている。「物理・魔法・ブレス攻撃により受けるはずだったダメージを1度だけ1.5倍にし相手に返す代わりに、一度使用するとルーレット上ではミスに置きかわる」というかなりのぶっ壊れ。そのデメリットも、ルーレットがないこの世界線だと消えてしまうから、実質チートキャラだ。


でも。


「壊れモンスを使う気は無いからねぇ…」


そう。せっかくルーレットがない世界線なんだもの、ロキ以上に輝きを増すモンスターがいるはずだ。たぶんこの調子だと「3 on 3 も場合によっちゃなくなるぜ~」っていうあのおしゃべり箱の爆弾発言が飛んできそうだから…そうなると全体攻撃モンスターの重要性がさらに増してくるかもしれないし。何が起こるかわからない。


だったら、普段ボコボコにされてるモンスターが一矢報いる機会になるじゃないか。そういうモンスターを使って、楽しんで冒険したい。


「…あの、それしれっと私は仲間じゃない宣言になりませんか?」


「なんで?零式って別にそんなに壊れでもないし…」


「ひどい…!金剛立ちもハドウホウも通常コマンドで使えるというのに…それにすべての機械モンスターの召喚だってできるのに…それでも雑魚だなんて…」




…………めんどくさ。え、どうしたの急に?カマチョちゃんなのかな?それに壊れじゃないと雑魚なんて言ってないよ??というかさ。


「…あのさ、ラスボスならそろそろ水の大陸に戻った方がいいんじゃ…」


「あ、大丈夫です…フロウさんたちから『ヒーローっぽい演出がしたいからぎりぎりまで待ってください』って言われてるので…」


「ドラマかよ!!心配して損したわ!!じゃあさっきのあれもまさか…」


「はい、泣きの演技ですがいかがでしたか?この涙、ちゃんと人間の涙腺から分泌されるものと同じ塩分濃度0.9%のものでして…」


「オイオイ、話逸れまくってんぞ?さっさと魔王ブチのめしに行くんじゃねえのか?」


あっ、ナタタイシが話の流れ戻してくれた。このままだとまさかの零式さんがボケ役になっちゃうよ…正統派ツッコミキャラだと思ってたのに…


「はいはい、零式の後継は俺がちゃんと探すから、行っといで?大陸。」


「やっぱりそうやって私を排斥しようと…」


…しつこっ。


「だぁーかぁーらぁー!零式が戻ってきたらまた迎え入れてあげるから!ちゃんとお仕事して来なさい!そんな泣かないの!」


「わかりました、マスター!私、逝ってきます!」


…今なんかニュアンスがおかしくなかった?もしかしてツッコミ待ちだったのかな?

…まあいいか。ラスボスとしてお会いした時にはまともになってるといいなぁ。



で。ナタタイシと組むチムメンをそれぞれ一体ずつ、ね。


「まぁもう決めてるんですけどね…」


「何だ、じゃあさっさと教えてくれりゃよかったのによ~」


おわっ。まだいたのかお前…


「しょーもない漫才し始めたから寝ちゃってたぜ…お前ら芸人失格だな?」


誰が芸人じゃ。調子狂うなぁ…


「で?俺様と組むのは誰なんだ?」


…ナタタイシって一人称俺様なのか…


「んーっと、ナタタイシは主にマヒでの妨害要員になってほしくて。それにあわせるから、壁役かEXゲージ要員でしょ?それにヒーラーかサモナー、あとドラゴンが欲しいかなぁ…それプラス、全員ストーリー進行に関わらない子たちだもんね…だからポワンちゃんはだめだし…うぅぅぅ…ポワンちゃん使いたかったなぁ…」


魔海の守護者ポワン。☆☆☆☆水属性魔法使いモンスター。ステータス、252-73-73。この子の優秀なのは、覚える技の一つ、シャボン・バリア・グラン。二ターンの間、被ダメージをすべて半減し、新たに状態異常にかからなくする…バリア系の技でもかなりの高性能の技。ただ体力が低いことと、上からマヒにかけられてバリアを張れずに退場してしまうことも多くて、あまり対人戦とかでは見かけなかったかな。ボス戦ではかなり重宝するけど、この世界線だとかなり壊れになるんじゃないかな。だからこそ使いたかったけど…


「水の大陸で零式さん以上に大事なカギ握ってるしなぁ…俺が連れてっと面倒になっちまうし…」


そう。ストーリー的に、ポワンがこっち側にいるのはひっじょーーーーーによくない。マジでダメ、ゼッタイ。だから。


「…イシスかなぁ…」


イシス。☆☆☆☆水属性天使モンスター。ステータス、273-73-68。全体水属性魔法攻撃や、毎ターン体力を回復する加護状態、さらに蘇生までできる、優秀サポーター。さらに、まだヒミツにしとくけど…ヤバイ隠し玉もある。うん、イシスにしよう。


「パンドラ、イシス出してくれる?」


「ほいほ~いっ…しばらくかかるからほかのも決めてくれよな~」


よし。あと二体。もう決めてるし、ササッとオーダーしちゃおう。紹介は…また今度でいいか。


「終焉の騎士ドクロ、あと…シルバードラゴン。」


「おっけー、じゃあ…よっと!」





「…私はオアシスの女神、イシス。あなた、本当にそれをわかっていて私を呼んだのでしょうか…?もし…」


「ハッハッハッハ!おっ…また遭ったな…!」


「ッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」


おーすごいすごい。ほんとに3体来たよ…濃いなぁ…3人とも…

イシスはなんかこう…うん、不憫キャラかな?長台詞言おうとしてたらあとの二人に全部持ってかれて「うう…私、女神なのに…」って顔してるし。先端に大きな赤いアーモンドのような形をした宝石が埋め込まれた杖を持ち、頭のてっぺんにはちょこんと玉座を模した飾り物が。左右一本ずつもみあげを束ねておろしていて、うなじのあたりからは猛禽類を彷彿とさせる黒い翼が一対。腕は肘から先が黒い布で覆われていて、胸には黒いサラシを巻き、腰周りから下は黒のスカートをはいている。スカートは前後に大きなスリットがあるので、ほぼその役目をはたしていないようにも見えるが…体の中央には青、黄色、白、黒などカラフルな幾何学模様の入った…帯?みたいな一本布がサラシあたりから垂れている。神様のファッション、って感じだ。


ドクロはまだ…普通かな。相変わらず見た目がえぐい。返り血があちこちにビシャッてなってるコート、血まみれのバカでかい包丁、首から噴き出す魂みたいな黄色い炎。ナトリウムでも刺さってるんだろうか。そして、なにより名前の由来の全身ガイコツ。一番表情がわからない。零式よりひょっとしたら無表情なんじゃないかな…でも、意外とお酒飲みながら哀愁漂う雰囲気で昔話とかしてくれそうな感じがする。


で、最後がシルバードラゴン。全身ギンギラギンのまぶしいドラゴン。雷属性のブレスを得意としていて、頭部には炎のような波打つ形の角が何本も生えている。胸部から腹部は鱗で覆われていないが、たくましい筋肉のおかげで弱点をさらすことにはなっていない。前足と独立した一対の巨大な翼、見るものを震えさせる鋭い視線。伝説のドラゴン、という異名がこれほどふさわしいモンスターは見たことがない。金色バージョンも居るんだけど…それはちょっと強すぎてチートチートしてるから、この子達でボコボコにしてあげたい。


「ハッ、いいじゃねぇか!チムメンも決まった事だし、さっさとバリバリしに行こうぜぇ!」



…ナタタイシが血騒ぎすぎてヤバい。

頼むよ、お前は常識人でいてくれ…

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