我が名は…



名前か……




あれ、そういえばこのキャラに名前あったっけ?


「心の中の自分に聞いてみたらどうだ~?」


うん、ベッタベタすぎる導入法だけどそうするしかなさそうだしそうしてみるよ。




………。





………………………。








「出てきたか~?」




「…………うん。一応。ただ…」


「ただ?」


「………『響華』っていわれたんだけど…」


「おっいいじゃねぇか~!それがどうしたって?」


「…名前からして俺もうこの世界では女で生きるしかないんだよね…?」


そう。心の中のもう一人の自分に聞いた結果、これが名前なんだろうけど、漢字だけポンっと渡されたんだよね。自分こんなにコミュ障だっけ?ってなるくらい。目も合わせないし紙の渡し方も雑だし。ただ筆致は完全に自分のものだったから信用はする。つまり。名前も見た目も、そして多分…体も…女性になったと、いうこと…らしい…


「ん~…まぁ性別なんてさぁ、アスモデウスとかアポロンとかクリシュナとか…その辺が厄介になるだけであんまり特別な要素でもないしなぁ~…それにさぁ、こっちの世界って女キャラ少ないから助かるんだわ~」


…そんな理由で転移者の性別変えるのはどうかと思うよパンドラ。


「…わかったわかった。そこはあきらめるけど、一人称とかはなーんも変えるつもりないからね?完っ全に素が男な響華ちゃんですどーも…これでいい?」


「オレじゃなくて仲間に聞くべきだと思うがなぁ~で、それなんて読むの?オレでもさすがに漢字は変換できねぇからな~」


そうなのか。パンドラっててっきりパソコン的な何かだと思ってたんだけど…知能はちょっとアレなのか…


「なんかヒビカって読むらしいから、ヒビカでよろしく」


一応、事の顛末を全部聞いてた零式さんたちにも自己紹介しておく。


「名など知らん。キサマは余が臣下にして覇道を共に歩むものよ!」

「おうっ、おめぇ名前もバリバリしてんなぁ!頼むぜこれから!」

「わかりました、マスター。ところでさっきの手鏡はどうでしたか?同じ女子としてご意見などを頂戴できればと思うのですが。」


…ほんとに三者三様だなぁ…。

マオタイさん、俺のことガチの部下と同じ扱いしてたんだ…勝手に臣下にされたし。

…ナタタイシはもういいや。ヒビカって名前のどこがバリバリしてるのかは俺にはわからん。もしかしてアレか?手首のシュシュみたいなこれを乾坤圏だと思ってんのかな?

零式が一番まとも…だと思ってたんだけど、意外にキャラ濃いなこの子。俺の名前より手鏡の感想のほうに注意が言っちゃってるし。あとなんか顔近いし。そういえばさっき手鏡作ってるときやたら俺のほうチラチラみてたのは何だったんだろう。


「ん、じゃあどうする~?竜の巣散策でもするか~?」


「あー…でもなぁ…」


チラっ、とマオタイさんのほうを見る。この人竜人族とひと悶着してたしなぁ…ありとあらゆるドラゴンを手中に収めようとするんじゃなかろうか…


「チームメンバー変えるか~?ここの世界じゃ、各属性一体まで連れ歩きができるんだぜ!」


えっ何その仕様。連れ歩き…?


「さすがに大魔皇連れ歩きするのはなぁ…」

「だろうと思ったわ。余は余でやることまみれだからな、いずれ力を貸そう。また会おうぞ!ぬぁっはっはっはぁ!」


あ、うるさい人帰った。帰ったっていうか、魔法陣に吸い込まれてどっか行ったわ。


「大魔皇は存在自体が伝説だからな、このままどっかの大陸でも行ったら、魔王が二人いることになるから大変なことになってたぜ~?」


こらそこの箱、ニヤニヤしながら重大情報の発表するな。それってつまり各大陸行ったらなんか魔王とか魔皇とか絡みのイベント起こるってフラグじゃねぇか…


「じゃあ、話を戻すけど…水と風のモンスターをあと一体ずつ入れられるんだよね?チームメンバーとして。」


「おう!好きなのを選んでくれよな~!」


「あとから変えられたりするの?」


「モチのロンだぜ!」


ネタが古いな。こいつ昭和生まれなのか…?アブシールと同世代なんだろうな…

まぁそれはそれとして。

ナタタイシと零式は優秀だし、このまま続投するとして、水と風から一体ずつか。


「あ、マスター。その件で一つお話がありまして。」


「んー?あっそうか…」


「はい。私、ラスボスなので…ご一緒できないんです…」


そうだった。一応この子新一章のラスボスだったわ。うーん…そうなると、土も必要か…


「私のコネだと零四式くらいしか紹介できませんが…」


うーん…アタッカーはナタタイシで事足りそうだからなぁ。正直、ずっとかばうを主軸にするならまだ四式の方が強そうだし、セントーンは火力不足感が否めない。


「あんな腕長より零四式のほうがかわいくないですか?」


「うんそれは認める。」


そっか、この子カワイイのが好きなのか。マジの女子だな。たぶん埼玉のあたりに住んでて、ときどき池袋とか原宿まで遊びに行くのが好きな子なんだろうな。しかも四式を腕長っていうあたり多少過激派なのか。


「でもごめん、機械族はやめとこうと思ってて…」


「でしたら土族ですね?」


「なんで思考が読めるのかな?エスパーかな??」


…思ってたこと言い当てるのとかマブダチのJKがすることだよ零式さん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る