潜在値、それは…

オレカバトルに存在する、隠しシステム「潜在値」。言ってしまえば、ポケモンでいう「個体値」のことだ。ポケモンでは0から31までの32種類が6つのステータスそれぞれに存在していて、ガチ勢の方々ならこれをすべて理想値にするべく奮闘することとなるだろう。


そんな個体値が、一プレイ百円のアーケードゲームにも存在する。オレカバトルにはHP、攻撃(At)、素早さ(Sp)、リールキャパシティ(Cm)の四つのステータスにそれぞれ潜在値が0から5(旧序章だけ6まで)の6(ないし7)種類存在していて、この値が大きいほどLv10での最終的なステータスは大きくなる。そのため廃人の方々は何万という金額を一体一体のモンスターに費やし、理想の個体を厳選すべく日々ゲーセンに通っている。


そして、その潜在値の厄介なところは判別方法にある。二次方程式みたいに判別用の公式があるわけでもないので、有志が実験に実験を繰り返し、まとめwikiを作り、Twitterで情報を共有し、潜在値の判別法を編み出さなければいけない。

それにより明らかになった、判別の参考になるものは三つ。


ステータス初期値

パンドラのコメント

レベルアップ時の上り幅


である。


初期値については、一定の値をとることがわかっている。例えば、Atが67のモンスターを考えよう。このモンスターの初期値は67,68,69,70,71の五種類が存在する。このうち、潜在値が最も大きくなる個体は、初期値が71であるものしかない。そのため、初期値67のモンスターの潜在個体(潜在値が最も高い個体のこと)を入手するためには、少なくとも71が初期値であることが必要となる。


次がパンドラのコメント。これは合体入手できるモンスターに限る現象だが、合体時にパンドラが、その個体の中で潜在値が最も高いステータスを教えてくれるのだ。たとえば、Cm-HP-At-Spの順で潜在値が6-4-6-5だったとしよう。この時パンドラは「ひょっとすると、コイツ…コマンドの潜在能力が高いみたいだなぁ」とコメントする。このコメントと、Lv10の最終ステータスでCm以外のステータスの潜在値がわかる(各ステータスの潜在値は基本ステータスとの差額により容易に判別できるが…本作はwikiではないので詳細は省く)ことから、一番潜在値の高いAtよりもCmのほうが潜在値が高いということがわかり(パンドラのコメントにはCm>HP>At>Spの順に優先度があるのはwikiでご確認を)、またAtは潜在値が6だからCmの潜在値も6とわかる。逆に言うと、パンドラのコメント以外でCmの潜在値を確認する方法はないため、コメントを得ることができないモンスターはCmの潜在値が不明のままになってしまうのだ。


最後が上り幅。これが最も重要で、先の「64の壁」はここからきている。一部の潜在値は、初期ステータスの値により判別することができるのだが、先ほど例示した67などは、初期値が71であることと潜在値が最高であることが同値ではない。実はLv2の時点で72なら潜在値5、73なら潜在値6という判別方法があるのだ。これにより、何人もの廃人たちは初期ステータスにぬか喜びし、Lv2で現実を見せられ絶望するのである。同じことが初期値59のモンスターでも起こるのだ。

初期値59のモンスターはほかに60,61,62という初期値を取るのだが、62の個体はLv2で63なら潜在値5、64なら潜在値6という判別法がある。この「Lv2で64になる」ことを「64の壁を越える」といい、厳選時の一つの安心材料となる。必要条件と十分条件、ってやつだ。


長くなったが、つまり先ほどパンドラが「ステータスのどれかが73のモンスター」といったのは、「初期値62で潜在値が5の個体はLv10でのステータスが73となる」ことを利用して言い換えたのであり…



「天上天下唯我独尊!」


ナタタイシ、Lv10ステータスが252-73-68な火属性火族モンスター。


「ワタシハ、ゼロ。ユイイツムニノ、ソンザイ。」


ロボ零式、Lv10ステータスが325-73-73な土属性機械モンスター。


「余はマオタイ、最強の大魔皇なり!ぬぁははははは!」


大魔皇マオタイ、Lv10ステータスが346-73-84な風属性悪魔モンスター。



三体全員、ステータスのどれかが73となっていて、条件を満たしている。


つまり、これでレヴィアタンをボコせば……



「…そういえばパンドラ、レヴィアタン倒した後の話なんも聞いてないんだけど?」


そうだ。このお喋りな箱、レヴィアタンを討伐しろとしか言わないから、勝ったあとと負けたあとどう進むか教えてくれてないのだ。

まぁ、聞いたとこでどうせ教えてくれなさそうだけど…


「勝てたら話すけどな。それまでのお楽しみだぜ~」


ほらやっぱり。


「どうせ勝つし今教えてくんないかな?」


「……やーだね」


チッ、冷たいなコイツ。いや…このチームで負ける方がおかしいんだけど。


ルーレットさえ外さなきゃね。





「あ、ルーレットはないぜ?指示出して終わりだぞ?」









はい?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る