64の壁
レヴィアタン。旧1章で登場した、初の☆☆☆☆海竜モンスターで、自チームモンスターの☆合計が7以上9未満の時出現するボスモンスターでもある。そのステータス、Lv10で330-70-50。水と雷の二属性のブレスが使え、単体攻撃の水鉄砲も覚える、使い勝手のいいモンスターだ。EX技で沈黙を狙える所と、土属性パーティーに不可視の圧力をかけられる所が魅力。七つの大罪の一つ、嫉妬の象徴として名高いが…オレカバトルではそれは反映されていない。ただのドラゴンだ。
…ただ、正直なところを言うと、アイテム目当てで戦ったという人のほうが多いんじゃなかろうか。こいつのレアドロップアイテム「海竜神のひれ」を合成に必要とするモンスター、氷獣ヌエというのがいるのだが…そやつがとことんぶっ壊れたコマンドを持っていた。その名も「さわると凍傷」。物理攻撃を受けた際、ダメージを無効化して氷属性の定数ダメージで反撃する技で、これがとことん強かった。氷属性が弱点となる火属性で、かつ物理攻撃が主体のボスモンスターには必須とも言えただろう。
閑話休題。
…で、それが今ね、目の前にいるわけですよ。真っ昼間なのにこんな音立てて大丈夫なのか心配になるんだけど、不思議なことに誰も気にかけないのか、人は全然来ない。あれ?もしかしてこれ自分にしか見えてないのかな?
なんて思っていると、
「ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
…本日二度目の咆哮に、さすがに鼓膜が限界を迎えた。ついでに堪忍袋も限界を迎えた。
「………うるさぁぁぁぁぁぁぁい!!!!言いたいことがあるなら口で喋りなさぁぁぁい!!てめぇ仮にも七つの大罪の一柱なんだし喋れんだろどうせ!!つかこいつがいるんだったらパンドラどっかにいんだろぉあ?!出てこいオルァァァ!!!!」
こんなでかい声出したの、何年ぶりだろう。言い終えると、肩で息をした。マジで疲れた…と思ったら。
「……ほいほい…っと、さっきぶりだな~?」
「いた!!!!!!!!パンドラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
オレカバトルのマスコットキャラともいえる、しゃべる宝箱、パンドラ。両目がボタン、鼻がジョイスティック、口がカード読み取り兼排出箇所になっている。
そして、あらゆるモンスターを自在に召喚できる、実はすごいヤツだったりする。口調がウザいけど。
「…ったく、そんなデカい声で叫んだってオレから体は生えてこないぜ?」
テンションが上がってまた大声を出してしまったのもきっちりつっこんでくる。しかもコイツ、ペ○ソナ知ってたのか…しかもネタバレ案件なレベルで…
「まぁ細かいことは気にすんなよ☆それよりヤバいぜ~?コイツ倒さないと…」
「…なんかチャラくなってる……うん、じゃあそこは無限歩譲って納得するからさ、レヴィアタン倒さなかったらどうなるか教えて?ねぇ?」
「・・・まずはリーダーのモンスターをスキャンしてくれ!」
やばい。こいつ賢くなってる。知られたら面倒なことは営業マニュアルに従ってやり過ごすタイプだ。
「リーダーね…ん?これ普通に戦うの?」
「ん、そうだぜ~!でも今回は一個だけ条件があってな?それが…」
「64の壁を越えし者、我と相まみえよ。」
「だってさ!」
……ん?今喋ったのって…?
「ボーっとするな、そこの者。はよ出せい。我は暇なのだ。あとこの口調で喋るの結構恥ずかしいからもうセリフ与えんといてくれぬか。」
謎にメタい発言をしている声はエコーをまとっていて、よく響く。念の為、確認。
「あの、この声…レヴィアタン…さん…?ですよね?」
「サインは受け付けておらん。」
あっ。大体わかったわ。こいつ戦いたくてソワソワすると会話が成り立たなくなるタイプだわ。どうせこのあと「実はファンなんです、サインください」っていうと思ったんだろ?そういうのは人型モンスターに言うんだよ普通。勉強になったな。
…じゃあ、嫉妬の象徴のくせにやたら傲慢なコイツを、ササッとボコしますか。
「準備はできたか~?じゃあ、指示通り『ステータスのどれかが73なモンスター』をスキャンしてくれよな!」
指示通り、『64の壁を越えたモンスター』たちで。
「ナタタイシ、ロボ零式、大魔皇マオタイ!出番だよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます