第一章 竹霧(たけきり)

【主要登場人物(第一章)と、演舞会剣術戦ルール】 



【私立彩の国サイナー英知学院 中等部3年2組の生徒たち】


§栄作心春えいさくきよはる


 色白小柄な男子苦学生。身長152cm。将来の夢は、職場でハラスメントに合うことが少なそうな、無難な書類仕事に就くこと。

 母が元おバカアイドルの高砂愛海たかさごあみであったことを秘密にしている(投資詐欺会社の役員をしていた経緯で芸能界を追われた残念な過去を母が持つがため)。

 圧縮学習コンプレッシングで得た知識量はおそらくクラス1だが、彼に知識が身についた実感は少なく、成績もクラスで中くらい。学院高等部では、人工冬眠、火星片道飛行、仮想世界への永住など、今生からの離脱を支援するワンウェイ・セクターへの投資を扱う、サイナー学部ワンウェイ学科への進学を予定。

 小学校時代の一人称はボクだったが、見た目が女の子っぽいということで、つけられたあだ名がボクっ娘だったことから、男らしくあろうと『俺』という一人称をたまに使ってみたりもするが、彼には全く似合わない。

 特別奨学生の義務ととて出演義務がある、中等部修了式の演舞会では、男らしくあれ、と、半年かけて圧縮学習コンプレッシングした居合の竹斬りに挑む。



§千田咲花ちだえみか


 クラス2位の学業成績の才女。身長172cm。

 幼馴染の心春きよはると同じく、ワンウェイ学科への進学を予定。保育園の先生をしていた愛海あみ心春きよはるの母)とも顔馴染みだが、クラスでは、愛海あみの事を秘密にしてくれている。

 父は、ドイツで金メダリストを得た後に日本に帰化した剣道家である、千田チルダン(師匠)。母は着物界を盛り上げるためにあえて出場したコンテストで準ミスジャパンに選ばれた和服美人の千田咲ちださき

 チルダン師匠の鋭い視線は、咲花エミカにも引き継がれている。一方で、和服美人の母の血が顔立ちの鋭さを和らげてくれている。

 「しばしばニヤリ笑いをする、目つきの悪いハーフ美人」とシンプルに要約されることが多い彼女の容姿は、クラス外でも有名。

 中等部修了式では、特別奨学生の義務を負う博士ひろしのために、剣術模擬戦の演舞に参加する。

 幼少から修めた剣道は既に卒業している。けれども、遊び半分で圧縮学習コンプレッシングで剣技を極めた結果、チルダン師匠の娘の評価は、「今の咲花エミカは、オリンピックに出ていた頃のボクより強いデスね」となっている。

 相当高級な戦闘サイボーグでない限り、咲花エミカに剣術戦で勝利することは困難だと推定される。



§ 布束博士ぬのたばひろし


 クラス1位かつ学年1位の学業成績にして、心春きよはるの苦学仲間。同じく父を知らない瑛汰に共感している。身長165cm。

 サイナー学部コンピュート・セクター学科に進学を予定している。超秀才らしく、圧縮学習コンプレッシングで得た知識を活かし、コンピューター科学について博士課程レベルの知識を持っている(ただし、コンピューター科学は、近年ではニーズが減ったため不人気な学問分野だが)。

 博士ひろしは、今となっては地味な投資分野であるコンピューティングが、次世紀には再び花開くと信じており、ライフサイエンス分野のほかに仮想世界分野の演算ニーズにも注目している。


 母は、サイナー学院講師も務める演算薬理学者の医学博士、志暢(しのぶ)先生。

 クラスの体育の単位で、剣道の圧縮学習コンプレッシングはかなりはかどっている。



§ お嬢様3人組(美里夢ミリムうた、アクリーナ)


 いつもどこか楽しそうな、女子3人組。3人共に、高等部の進学先は叡智えいち学部。これからの社会を担う叡智を学ぶ、というキャッチフレーズの叡智えいち学部に進む3人は、当然ながら、苦学とは無縁なお嬢様たち。クラスの成績は中くらい。3人共、博士ひろしと同じくらいの身長。


 咲花エミカに誘われ、3人組は、演舞会では博士ひろしを応援しての咲花エミカとの4対1剣術戦に挑む。圧縮学習コンプレッシングでにわかに仕込んだ剣術では咲花エミカの相手にならないことは明らかなので、うたの提案で、演舞会での剣術戦ルールは以下の通りとなった。


《剣術戦基本ルール》 

・ 咲花エミカに対するは、博士ひろし美里夢ミリムうた、アクリーナの四人組

・ 四人組は当たり判定付きフルサイズの模擬剣を用いる

・ 四人いずれかの模擬剣が咲花エミカの身体との接触判定をした時は、四人組の勝ち

・ 咲花エミカは長さ20センチメートルの小刀相当の模擬剣を用いる

・ 咲花エミカの模擬剣が相手の身体との接触判定をした時は咲花エミカの負け

・ 咲花エミカは、合気の技で相手の背中を床につけた時にのみ相手を倒すことができる。

・ 咲花エミカが合気の技を使う時には、模擬剣を手から離していなければならない

・ 咲花エミカ四人全員を背中に床につけた時には咲花エミカの勝ち

・ 制限時間5分を経過して、四人のうち一人でも背中に床がついていない場合は四人組の勝ち

・ 咲花エミカが合気の技を使う時には、相手に痛い思いさせてはならない

・ 咲花エミカの合気の技で背中をついてしまったものは、10秒間死んだふりポーズをする


 このハンディありのルールにて、演舞会では、皆を楽しませることができるかどうか?!



§ 我妻友樹わがつまともき あだ名はクネ夫。


 クラスの成績ビリッケツ常連。身長172cm。

 実家は、地元の土建屋のボンボン育ち。


「……ただのチアガールではない本物のミニスカ・チアガールというものはな。ほんまに、ほんまに、おパンツが拝めそうな感じなんやで。めっちゃハラハラドキドキぃ」

 などの謎のセリフと共に繰り出される、くねくねダンスで有名。


 中学生のうちに童貞を捨てることを目指すと心春きよはるには宣言しているが、厨二病をこじらせ気味であるためか、実現していない。代わりのつもりか、心春きよはるに対しギリギリセクハラとならない程度に行われる、数々のボディタッチを試み続けている。

 もちろん、クネ夫が真に目指すところは、美少女彼女の獲得。心春きよはる博士ひろしの演舞会に、咲花エミカとお嬢様3人組という美少女カルテットが出演協力することを聞きつけて以来、演舞会の練習に皆勤賞で出席し、ひとり軟体動物として腰をくねくねさせている。


 数々のセクハラ発言を繰り返すクネ夫だったが、咲花エミカの怒りを込めたメデューサの睨みの前に石化することもある。しかし、懲りない軟体動物である彼は、石化から解けるなり、巧みな交渉術を発揮して、咲花エミカに演舞会で最終兵器レオタードとなる設定を受諾させることに成功している。。


《剣術戦追加ルール》

・ 咲花エミカは、残り時間一分となると最終兵器な心春きよはる女となる

・ 最終兵器となる咲花エミカは、剣道着を脱いで新体操のレオタード姿となる

・ 最終兵器なレオタード姿の咲花エミカは、超絶の技を繰り出す

・ 最終兵器にどうせ倒される四人は、当日までに新たな死んだふりポーズ

 を考えておく(クネ夫の心の声 セクシィポーズ、キボンヌ♡)



 地元の名門校の中等部修了式には、地元のテレビ局も取材にくるようなのだが、当日の演舞会剣術戦は地上波的にオーケーであって欲しいものである。

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