ラップ

「最近ね、ラップに目覚めたのよ」

未だ反抗期の友人は、ラップに目覚めたらしい。

わたしは頭の中で「ラップ」を想像する。…あの透明で、余ったご飯を包んだりするラップ? 目覚めるとは一体どういうことか。

「…へぇ、そうなの。どこが気に入ったわけ?」

「やっぱり、ちょっと反抗的なところかしら。普通の歌では出てこないような…危ない言葉とか、こうギリギリのラインを踏んでる感じがイカすわぁ」

あぁ、そっちのラップか。

自然に「イカす」なんて言葉が出てくるあたり、彼女らしい。…時代の流れに逆らって死語を使うことが多いのだ。

「反抗的ねぇ」

「安心して、もう反抗期は終わっているのよ。…反抗的なものに惹かれるのはずっと昔からなの」

それはそれは。…面倒なお子様だったに違いない。

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