スパイス

「…だからね、恋愛には多少のスパイスが必要なわけ。わかる?」


日曜昼間のショッピングモール、の占いコーナー。本来ぼくとはまるで縁のない場所だ。

そもそもぼく子どもだし。


「…はぁ。じゃあ、恋愛はスパイスってこと?」


いかにもな格好をしているお姉さんは、わざとらしく肩をすくめてみせた。


「だぁめねぇ、ぼうや。多少、って言ったでしょう? スパイスはあくまでスパイスなの。多すぎても少なすぎても毒だわぁ。…そうね、少し刺激的、くらいがちょうどいいの」


「…はぁ」


お姉さんをじっと見つめる。


年上のあやしい美人のお姉さんに恋愛について伝授されているこの状況。………ちょっと刺激的だ。

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