呼び名

「ひろくん、ひろくん」

いつものあほ面が迫ってくる。

「もう幼稚園じゃないんだから、名字で呼べよ」



遠野とおのくん。…あの」

おどおどした顔しやがって。

「学校であんま話しかけんなよ。恥ずかしいだろ」



「遠野。ねぇ、その人誰?」

強気な瞳が揺らいでいる。

「彼女だけど。…ん? ああ、いいのいいの。こいつとはただの腐れ縁」




「遠野! こっち来てー! このドレスすごいよ!」

いつからこんなに綺麗だったっけ。

「…もうすぐお前も遠野だろ。下の名前で呼べよ」


浩人ひろとくん? 浩人?」



「…どっちでも。お前が好きなように呼べば」

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